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SAO マインド・フラグメント 第五話

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「ねぇねぇ、いるー?」

 ユウキは相変わらずの明るさのまま、ある宿屋に入っていた。それが相変わらず仲間のために振る舞われているなら、の話だったが。

「ご主人様ー? いないのー?」

 媚びた様子で何者かを呼ぶユウキの声色は、普段の様子とはまるで違っていた。宿屋を探し回るユウキの手は何者かと手を繋いでいたが、その彼女は人形のように力を感じなかった。

「ちぇっ、せっかくシリカを手に入れてきたのに」

「…………」

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 感情もなく立ち尽くす友人を一瞥することもなく、ユウキは不満げに愚痴を漏らす。そして不承不承ながらもシリカに向き直ったが、その後にすぐさま宿屋の扉が開いた。

「ご主人様!?」

「失礼する」

「……何の用?」

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 しかし宿屋の扉を開いたのは、ユウキの期待した人物ではなかった。褐色の肌をしたそのNPCに対して、ユウキは目に見えて不満げに、というらしからぬ対応をする。

「アスナから言われてきたのだが……」

「……なんだ、アスナの戦利品かぁ」

 彼女の言っていることも聞かずに、ユウキはさらに落胆した様子を見せる。まだそのNPC――キズメルは何かを喋っていたようだったが、全くユウキの耳には届いていなかった。

「アスナは流石だなぁ。もう『入力』も終わらせてるし、じゃあ、ボクもシリカにやってあげないと……君は、これでも着て散歩して来たらどうかな」

「了解した」

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 そのまま着替えて出ていくキズメルを無視してユウキはシリカの方を向くと、メニューを操作して鼻歌交じりに何かを入力していく。こうしてアバターに仕込んだチップに『入力』することで、脳内にその感情がそのまま『入力』されていく。

「シリカはねー、どうしよっかな! 男の人に見られると、感じちゃうようにでもしちゃう?」

「…………」


 物言わぬシリカに嬉々として語りかけるユウキを――満足げに眺める男がいた。チップの付いている女性を一人除いて自分を見えなくし、宿屋で『変わった』女性たちを見て楽しんでいるのだ。

「ご主人様、何笑ってるのか当ててあげよっか?」

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 その一人除いた人物として、男を膝枕しているストレアがいた。シリカを洗脳していく姿を見て笑う男を見て、愛おしそうにその髪を撫でていた。

「ユウキが友達を洗脳しちゃうような、そんな子になって嬉しいんでしょ? それなら私だってやろうか? なんだってするよ……?」

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コメント

No title

遅くなりましたが更新お疲れ様です
みんながどんどん悪い子になっていくw
こういうじわじわと来るのはいいですねえ
次回もがんばってください

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