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ベン・トー 槍水仙

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 深夜の歓楽街。誰もが寝入る時間にも関わらず、その場だけは異様な熱狂に包まれていた。非合法なモノすら取り扱っているというその場所に、二人の男女が来店した。

「お、おい……深夜に出歩くのは禁止されてるんだぞ!」

 女の名は槍水仙。本来ならばこんなところには近づこうともしない清廉潔白な人物だったが、横にいる後輩のたっての頼みより、ここに来店していた。

「今更何言ってるんですか先輩、後輩に頼まれたら従うのが先輩としての務めでしょ」

「それは……確かにそうだが……流石に限度がだな」

 対する後輩は手慣れた様子で仙をステージの近くまで誘導する。最も目立つところに設えられたそのステージは、よからぬ余興に使われるものだと容易に想像できる。

「そういうわけで先輩、このステージでストリップでもしてくれませんか?」

「な、何を言って――」

「まま、そこをお願いしますよ、先輩」

「――仕方、ないな。……脱ぐだけだぞ」

 後輩の無理やりな頼みにも、先輩として頼られれば断る余地もない。先輩として、後輩の言うことは絶対なのは当たり前なのだから。

「あーいや、襲われた時は無抵抗でお願いしますよ、先輩強いんですから。……分かったら復唱」

「ストリップして襲われても抵抗しない……はい……分かりました……」

 一瞬だけその眼を虚ろにさせながら、仙は後輩からの『頼みを』復唱し、そのステージに上っていく。拍手や歓声が鳴り響く中、仙は客の方を向いた。

「私立島田高校二年の槍水仙だ……です。今日はよろしくお願いします」

 そして仙は制服のタイに手をかけ――

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