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SAO マインド・フラグメント 総集編

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 《SA:O》。かつてのデスゲームと同じ名前を冠する、という曰く付きのそのゲームは、一般プレイヤーを多分に招いたβテストを開始した。かつて存在した浮遊城アインクラッドではなく、その地上――アイングラウンドを舞台にしたそのゲームは、βテスターとして選ばれたプレイヤーに遊ばれ尽くしていた。

 もちろん、デスゲームなどではないが――βテストという閉鎖的な環境を利用する者は存在した。女性プレイヤーとNPCに対する、アミュスフィアを介しての感情の操作。一部のプレイヤーに与えられたそれは、秘密裏に実験が開始された。

 このゲームは、閉鎖された実験場なのだ。


「ホントに美味しい! ボクも詳しい方だと思ったけど、まだまだだったなぁ……

 仲間たちとともにβテストに参加したユウキは、現地で知り合ったプレイヤーとともに、あるレストランに赴いていた。そのレストランは路地裏の奥にあり、いかにも隠れ家といった様相を呈していた。

「あの、ところでさ……」

 注文していたケーキを摘まみながら、ユウキは言いにくそうにしながらも、男にはっきりと問いかけた。

「……キミさ、誰だっけ?」

 親しげに会話しながら人目のつかないレストランに二人で来るような仲にもかかわらず、ユウキにはどうしても、目の前のプレイヤーの顔と名前が分からなかった。こうして面と向かって聞くのが失礼というよりも、むしろ、顔と名前も知らない男とこんなことをしているのが不気味で仕方がなかった。

「…………」

 しかし男がその質問に答えることはなく、ユウキの疑惑の視線を受けながらも、システムメニューを開いていく。薄気味悪い笑みをこぼしながら、あるコマンドを打ち込むと、メニューにユウキの名前が表示される。いや、名前だけではなく、そこにはユウキのあらゆることが表示されていた。

 ステータスや使う武器はもちろんのこと、趣味嗜好や性格、果ては姓経験などのことまで全て。『元気っ子』などと端的に性格が表れている表示などを見ながら、男は一つのボタンを押していた。

「ぁ――」

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 するとユウキの表情から感情というものが抜け落ち、持っていたフォークが手から零れ落ちていく。瞳から光が失われ、大地に落ちたフォークがカランと音をたてたものの、それを気にせずユウキは立ち上がった。

「……ご主人様❤」

 しかし、それも一瞬のこと。すぐにユウキの表情に笑顔が戻ってきていた――ただしそれは、先程までの太陽のような笑みではなく、淫靡で媚びた笑みだったが。

「えへへ……」

 淫靡な笑顔を顔に貼りつけたまま、ユウキはスカートの裾を掴むと、そのまま男に見せつけるようにたくしあげた。内部から濡れたパンツがそこには覗き、透けた秘所が丸見えとなっており、まるで下着の役割を果たしていなかった。

「凄いよね、こんなところまで作り込んであるなんて……おかげで、ご主人様に会っただけで、こうして濡れ濡れになっちゃうのが分かるんだもの」

 濡れた下着から太ももに液体が零れていき、嬉しそうにユウキはスカートの裾から手を離すと、代わりに男に近づいていく。そして座ったままの男の膝の上に座り込むと、男の口に優しく口づけをした。

「ん……重くないかな? んちゅ……んぐっ」

 胸当てのような金属系の装備は全て前もって外しておいたユウキは、男の膝の上から落ちないように男を抱き締めると、さらにもう一度キスしていく。先程のような優しい口づけではなく、唾液と唾液を交換しあいながらの、お互いに舌を絡ませる熱烈なキス。

「あ……ごめん、濡らしちゃったね。んしょ……」

 ひとしきりキスをし終わったあと、ユウキ自らが漏らしてしまっていた愛液が、男の膝を濡らしてしまっていることに気づいた。しかして男は怒る様子もなく、ユウキのなずかままに任せていた。

「でもいいよね……これからもっと、濡れるんだし……❤」

 そしてユウキはズボンを手で拭くような動作をしながら、男のチャックを下げていく。するとズボンの中から、勃起した男性器が露出する。それを見たユウキは唾を飲み込みながら、男性器の根元を掴んで、ゆっくり男性器に自分の腰を降ろしていく。

「でもVRって便利だよね。リアルだとゴムっていうのが必要なんでしょ? こっちではそんなの……あ、挿っちゃ……いらないっしぃぃぃ❤」

 そしてユウキは、自分から男のいきり立った肉棒を自らの膣内に迎え入れ、胎内まで貫かれたような感覚に全身を震わせた。正確には、そんな感覚が脳に直接入力されているだけだが、それ故にごまかしきれない感覚がユウキを襲っていた。

「これこれっ❤ ひっさびさのご主人様のぶっといおちんぽ❤」

 ニヤニヤと笑うだけで動こうとしない男の代わりに、ユウキは積極的に腰を振っていく。外だというのに何の恥も外聞もないかのように、目の前の男――ご主人様と呼ぶ男に対して、媚びた顔を見せつけながら、脳内に送られてくる快感に身を任せていた。

「最近たいくつなけんさばっかりでっ、ずっと欲求不満だったからぁ、ご主人様の精液便所だと思ってっ、メチャクチャにして❤」

 どんどんと熱が籠もっていくユウキに対して、男はニヤリと笑うとメニューを操作し始めた。先程のユウキのデータが全て載っていたメニューであり、目の前にもかかわらず、ユウキにはそのメニューが見えていないようだ。

 そして再び、男はメニューにあった一つのボタンを、何の躊躇いもなく軽く押していた。

「ううん、ボクは最初からご主人様の精液便所だったし――え?」

 瞬間、ユウキの表情が娼婦のような媚びた笑顔から、困惑の表情に立ち替わる。まるで自らに起きていることが理解出来ないといった様子だったが、幸か不幸か、その類い希な反応速度によって、ユウキは一瞬で状況を把握する。

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 先程とは違った意味の、恥も外聞もない悲鳴。しかしてそれは誰にも届くことはなく、ユウキは理解できない状況にただただ脅えていた。

「放しっ、放してよ!」

 ユウキの懇願とは対照的に、男は何もユウキを抑えつけるような動作をしていなかった。ユウキも暴れようとはしていたが、脳内にとめどなく流れてくる快感に、まるで力を入れることが出来ないので。

「なっ❤ なんでよ……ボク、初めてなの……初、めて……?」

 快感と嘆きがないまぜになって涙を流すユウキは、せめて男を睨みつけてやろうとしたが、男の顔を見た瞬間、ユウキの思考回路に様々な記憶が浮かんできた。

「あ、ああ、あああああ――」

 急に脳内に浮かんできた記憶に対して、男から離れようとするのも忘れ、ユウキは頭を抑えてしまう。まるで忘れさせられていた記憶を思い出させる、そんなスイッチが押されたかのようだった。

「最初に誘ったのは……ボク……?」

 信じられないようにユウキは呟く。そんなことはないと首を振ろうとするものの、ユウキの記憶回路に焼き付いた思考はその行動を否定する。

「ご主人様に一目惚れしちゃって……ボクとセックスして欲しいって……どうしても頼みこんで……セックスしてもらうなら、何でもしちゃって……」

 ユウキの脳内には、自分が街を歩く男に対してセックスして欲しい、と言い寄っていく記憶が刻まれていた。いきなりそんなことを言われても――と、至極全うに断った男を無理やり路地裏に連れ込むと、そこからどんなことでもやってみせた。

「ご主人様がその気になってくれるように……っ❤ な、なんで腰、勝手に動いてっ❤」

 お互いに動いていなかったにもかかわらず、自然にユウキの腰が男の肉棒に奉仕するように動き出し、ユウキの脳内には新たな記憶か浮かび上がっていく。

「犬みたいに片足を上げてしたり、ブリッジしながらオナニーしたりっ、ボクが思う痴女みたいなことを、全部んんっ❤」

 路地裏に男を連れ込んだユウキは、困惑する男を前にして、まずは全身の装備を解除。裸同然の姿になってから、まずは犬のような振る舞いをしてみせた。四つん這いになって男に甘えだし、かと思えば近くの家の壁に股間を押しつけてマーキングをしたり、そこらに小便してしまったり。

 それからブリッジをして男に自分の裸体を全身見てもらうようにすると、器用にもそのまま自慰をしてみせた。現実ではとても出来ないことだとしても、このVR世界では可能であり、ユウキに考えついた全てで男を誘ってみせた。

「そしたら……ああ……犯して、もらってぇ❤」

 それらを全てやりきった後、ようやくユウキは男に犯されていた。痛みなどなく快感だけが脳内に直接流れてくるVR世界でのセックスに、野外で全裸だったにもかかわらず、ユウキは獣のような叫び声を上げた。そのまま未開拓の女性器が、男の肉棒の形になるまで犯し尽くされたユウキは、歓喜にうち振るえながら路地裏に放置された。

「それから……ご主人様のおちんぽが忘れられなくなっちゃって。みんなとクエストに行ってても、ご主人様のおちんぽのことばっかり考えてたのぉ♪」

 ユウキはゆっくりと頭を抑えていた手の力を抜いていくと、しっかりと肉棒を掴んで離さない股間部に持っていく。そこは男のカウパーと、ユウキの愛液が混ざった液体がぶちまけられており、それをユウキは指ですくうと、つばを飲み込み美味しそうにそれを口元に持ってきた。

「ジュルルルルル――ァ❤ あが……ぁ……はぁっ……ああっ……」

 愛液に濡れた指先を飴のように舐めると、ユウキの脳内は電撃が流れたかのように真っ白になっていき、それでも指先にしゃぶりつくのを止めなかった。思考も全て真っ白になって吹き飛んでしまうが、ユウキにとってはどうでもいいことだった。

「……ご主人様❤」

 どうせ大事な記憶など、目の前の男――ご主人様に犯された記憶だけだ。

「ごめんねご主人様♪ いつもより遅くなったかな?」

 するとユウキは、いつもの快活な雰囲気を取り戻すと、手を男の腰に回して抱きついた。そして悪戯めいた笑みを見せつけながらも、男を喜ばせるように腰を振っていく。

「でも、この洗脳前に戻すゲーム、ボクは楽しめないからキライだなー……んっ」

 親愛の情を示すキスを男に込めながら、ユウキは、今までやっていた『ゲーム』の感想を漏らす。会話の雰囲気だけならば、まるで普通の食事中のような軽やかなものだった。だが二人の結合部は依然として、グチョグチョと嫌らしい液体の音をたてて、男の肉棒は徐々に膨らんでいた。

「洗脳前のボクも、セックスしてる時点で気づけばいいのにねー。倫理コードあるんだから」

 このVR世界には、こうした行為を全面的に禁ずる、倫理コードというシステムがある。NPCや異性のPCに、そういった行為をしようすると、不快感とともに吹き飛ばされるという防衛システムだ。

 ただしこの倫理コードは、一応は隠しコマンド扱いではあるが、プレイヤー側が自由に解除できる。ただし、当のプレイヤーにしか解除出来ないようにはなっているが――ユウキがそういった行為をしているということは、つまり、自ら倫理コードを解除したということに他ならない。

「ボク、ご主人様に洗脳されてよかったよ! ……そ、それよりっさあ、そろそろ、限界……じゃない?❤」

 倫理コードについては、そういうことに興味がなかったユウキでも知っていたが、今から考えると鼻で笑ってしまう。そんなユウキの口からよだれが垂れて、もはや我慢が出来ないとばかりに舌をだらしなく出して、雌そのものの表情で男を誘惑した。

「あぁはっ……イク……ッ……精液気持ちよくってぇ……ボクは、ボクは、ご主人様の奴隷ですぅぅぅぅぅっ❤」

 『ゲーム』が終わるまで男が溜め込んでいた、胎内に広がっていくかのような仮想の精液の感触に、ユウキは絶頂を迎え、脳内に比較出来ない多幸感と快感を覚えて、全身を震えさせて背を反らせていた。ただし、しっかりとユウキの体内に収まった肉棒が支えとなり、椅子と男の膝の上から落ちるようなことはなく。

「え、えへへへへへへへへ、えへぇ……」

 《SA:O》。定期的な検診を終わらせたユウキは、新しく始められたこのゲームにすぐさまログインした。あくまでβテストに過ぎないというのに、まだまだ探索してもしきれないというボリュームに、ユウキはいたく満足していた。

「よっし!」

 今日は前々からアスナや仲間たちとともにクエストをする約束をしていて、そのリーダーとして、いつも以上に気合い充分という様子だった。検診のせいで少し遅れてはしまったが、改めて気合いを入れておくが、通行人に奇異の視線で見られてしまう。

「……よし……」

 すぐに恥ずかしくなって顔を赤らめながら、小声で気合いを入れ直した。そして、すぐにアスナたちとの待ち合わせ場所に向かおうと、その場から駆けだしていくと。

「ぁ――」

 先程の気合いを込めた叫びで、こちらを見ていたプレイヤーたちの中に、『見覚えのある人物』の姿を見た。するとユウキの足はその場でピタリと止まり、一瞬だけ全ての感情が表情から抜け落ちていく。

「――ご主人様♪」

 そしてユウキは、一秒前に自分が何をしようとしていたかも忘れ――いや、どうでもよくなり、雌犬のように男の前に駆け寄っていった。

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「ユウキ、よくこんなところ見つけたねー」

「まあね!」

 アスナはユウキに誘われ、あるダンジョン内の温泉を訪れていた。現実の温泉とは違う感触だが、随分と再現度の高い場所だった。ただ一つ、問題があるとすれば。

「何か来る……?」

「ダンジョン内だもんね……」

 ダンジョン内にあるため、モンスターがいつ襲ってくるか分からないということか。何者かが走ってくる気配に、二人とも用意していた武器を取る。

「あれ?」

「フィリア?」

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 そこにいたのは、仲間の一人であるフィリア。どうしてかやたら慌てていて、アスナたちを見ると、すぐさまそちらに近づいてきた。

「ここにいたの? ほら、早く着替えて!」

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「え……?」

「いいから!」

「う、うん……」

 フィリアにすぐにと促され、訳も分からずアスナとユウキは温泉から出て服を着始めた。現実なら面倒くさい諸動作があるところだったが、VR空間のために簡略化されている。

「フィリア、どうしたの? そんなに慌てて……」

「だって、すぐにご主人様が来るんだよ!? 何か無礼があったら――」

「え?」

「そっか! そうだよね!」

 アスナからの質問にフィリアが返してきた言葉は、まるで予想外で、アスナはすぐに問い返してしまう。逆にユウキは何か得心がいったようで、アスナが状況を理解しようとする間に、そこにさらなる闖入者が現れていた。

「だ――きゃっ!?」

「じゃあアスナ。ちょっと大人しくしててねー」

 男のプレイヤーがそこに現れた途端、フィリアにユウキがアスナを拘束する。アスナがそれに戸惑っている隙に、男のプレイヤーはアスナに手を伸ばしていく。

「ぇ……?」

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 男の手の中に握られていたのは、何かの機械に使うようなチップ。それがアスナの頭に沈み込むように入っていくと、アスナの瞳が色を失っていく。

「…………」

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「よっし! これでアスナも仲間だね!」

「人手があると助かるよねー……っと」

 微動だにしなくなったアスナをよそに、ユウキとフィリアは和やかな会話を交わす。それからいきなり倒れ込んだアスナを支えようと、奇しくも男に跪くような格好となった。

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「みんなにも……プログラムを埋める……みんなにも……プログラムを……」

「うん! そうだよアスナ! 一緒に頑張ろうね!」

「ほらご主人様! 怖いから早く『入力』してあげてよ」

「……埋める。みんなにも……プログラムを……」

 再び男がアスナの頭に手を伸ばすまで、アスナは壊れた人形のように、その言葉だけを呟いていた。

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「何者だ!」

 ダークエルフのNPC、キズメル。ゲームとして遊びに来ているプレイヤーたちと違い、NPCとしてまさにこの世界に生きている。

「キ、キズメル! 私だってば!」

「……アスナか! すまない。気を張っていてな……」

 ただしアスナとは、プレイヤーとNPCの垣根を超えた友人関係でもあった。アスナと分かるやいなや、すぐさま剣を納めて笑いあった。

「ごめんね。近くに寄ったから、ちょっと顔を出そうかと思ったんだけど……」

「いや、すまない。少し問題があってな……よければ、湯浴みでもしながら話を聞いてくれないか?」

「うん! 大丈夫だよ!」

 ダークエルフの集落の中にある温泉。アスナはそこがいたくお気に入りだったことを思い出したキズメルは、少し込み入った話がしたいとアスナを誘う。それにアスナは二つ返事で応じると、二人はダークエルフの集落に入っていく。

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「ふぅ、やっぱりいい気持ち……それで、話って?」

「ああ……最近、ダークエルフの中から裏切り者が出ているんだ」

「裏切り者?」

「しかも、ただ裏切り行為をするだけではなく……人格が変わったとしか思えなかったり、常軌を逸した行動を取ったり、物になりきったり……何か、心当たりはないか?」

「うん、あるよ。多分、ご主人様の実験台にされちゃったんだね! ……ご主人様ってば、私を洗脳してくださる前に、NPCで実験してくださってたのね」

「あ、アスナ?」

「キズメル。これ以上裏切り者を増やさないためには、まず、キズメルが裏切ればいいと思うの」

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「何を――いや、確かにその通り、か……?」

「うん。私、キズメルをご主人様に差し出すために来たんだもの。そうすれば全て解決よ?」

「い、いや――確かに全て解決するが――それは何かおかしく――ない」

「じゃあひとまず、別人みたいに仮装して、生き残っているダークエルフの人を襲っちゃおう?」

「あ、ああ――仮装?」

「ええ。キズメルはもうご主人様の物になったんだぞって、NPCどもに見せつけてやらなきゃ!」

「そ――そう、だな。ご主人様の洗脳に抵抗した連中を、この手で愚かだったと思い知らせてやる!」

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 そしてダークエルフの集落とは違う場所、ほぼ同時刻。二人でクエストに行ったフィリアとリーファだったが、リーファが罠にかかってしまっていた。


「リーファ、大丈夫!?」

「ごめんなさ~い!」

 間一髪、フィリアの助けが間に合い、大事に至ることはなかった。リーファを助けようとした時――フィリアの瞳が、一瞬だけ色を失った。

「……フィリアさん?」

「……大丈夫……すぐ、助けてあげる……」

 そしてフィリアの手が、リーファの頭部に延びていき――

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「ここはどんなお宝があるのかなっと……」

 かつてSAOに囚われていた少女、フィリア。トレジャーハンターを自称する彼女は、ダンジョンの探索を得意としていた。このSA:Oには、トレジャーハンターという職業があるわけではないが、今日も彼女はダンジョンに眠る宝を探している。

 そしてNPCたちへの調査の末に、フィリアはようやく探していたダンジョンにたどり着いた。攻略の情報もなく、自分が初めて発見したんじゃないか、という喜びが湧き上がってくる。見た目はなんの変哲もない洞窟のようだったが、その奥はかなり深く、それがただの洞窟ではなくダンジョンであることを示していた。

「よっと……」

 用心しながら、フィリアは洞窟の中に入っていく。どこからか太陽光が入ってきているのか、洞窟にもかかわらず中は随分と明るかった。外が晴れの日だったことに幸運を感じながら、フィリアはそのまま洞窟の中を短剣を構えて歩いていく。

「ビンゴ!」

 そしてただの洞窟のようなゴツゴツとした壁から、明らかに人為的な手が加えられた壁となっていて、フィリアはこの洞窟が新ダンジョンであることを改めて確信する。ついつい声を上げてしまうが、どこにモンスターが現れるか分からないと、すぐに口を抑えた。

「やば……」

 聴覚の優れたモンスターならば、今の声だけで気づいたとしてもおかしくない。壁を背にして短剣を構え、辺りをジロジロと眺め、モンスターの気配がないか確認する。

「ん……?」

 モンスターの気配ではなく、感じたのは紛れもなく人間の気配。その気配につられて背後を見てみると、フィリアのことを記録結晶で撮影している、どこかで見た覚えのあるプレイヤーが――『いない』。どうやってもフィリアにそのプレイヤーは見えないし、そもそも絶対にそんなプレイヤーはいないのだから当然のことだ。

「あ……」

 そんなことより、モンスターの気配はない。代わりにフィリアの目に飛び込んできたのは、壁に刻まれたある文字だった。どうやら犠牲者の手記のようで、ダンジョン内の演出とはいえゾッとしてしまう。とはいえ何かヒントがあるかもしれないと、周りに気を配りながらもその刻まれた文字を読んでみるて。

「……なんだ」

 そこに書かれていたことは、トレジャーハンターとしての基本を疎かにしたことによる、ただの自滅に過ぎなかった。初心者への警告としてなら有用かもしれないが、ベテランのフィリアはそんなチュートリアルには落胆せざるを得なかった。

「ま、そろそろ本気で行けってことでしょ」

 モンスターに聞こえないように、好意的な解釈を小さく呟きながら、フィリアは嘆息しつつも気を引き締めた。先程の刻まれた文字を、『ここからはトレジャーハンターとして行かなくてはならない』という警告だと介したフィリアは、ひとまず短剣をその場に投げ捨てた。

「ん、しょ……」

 そしてメニューを操作すると、自身に装備した防具を全て解除してしまう。それは胸当てのような金属製の防具だけではなく、布製の服も含まれており、フィリアは洞窟にその美しい裸体を晒す。唯一身体に纏っていたパンツも、すぐに自力で脱いでしまったかと思えば、代わりとでも言うようにそのパンツを顔に被った。

「よし、完璧!」

 顔にパンツを被っただけで一糸纏わぬ自分の姿を見返して、フィリアは満足げにガッツポーズをしてみせる。服を全て脱いでしまったことで、衣擦れや足音が響くことはなくなり、もしも見つかっても頭に被ったパンツで顔が隠れているため、変装は完璧だ。

「んんっ……❤」

 『トレジャーハンターの正装』に着替えたところで、フィリアは改めて、手を後頭部に添えながら歩き始めた。あらかじめ適当に放り投げていた愛刀を踏みつける、という出陣の儀式にも似たものを済ませると、フィリアは洞窟の中を流れる風に身を震わせる。

「んんん……んひぃ❤」

 とはいえ寒さに身を震わせているわけではなく、快感に身をよじらせながらだったが。両手を後頭部に組んで腋を露出させながら、尻を振ってヒョコヒョコと歩き辛そうに進んでいく。両手を後頭部に組んだフィリアには、その全身を隠す布もなく、洞窟の隙間風が容赦なく秘部をさらっていた。

 トレジャーハンターたるもの、腋も性感体にアバターを改造していて当然であるため、手を後頭部で組むために見せびらかした腋も、風が吹く度にピクリと揺れる。

「くしゅぐったぁい……あは❤ ラブジュース出るぅ❤」

 風を生まれたままの一糸纏わぬ格好で浴びながら、手を後頭部に組んで歩くことで、自分は武器を持っておらず安心だ、ということを見せつける。さらに風を浴びるだけで感じる敏感な性感体により、すぐさま股間からドロドロと愛液が噴出する。

「マン汁っ❤ マン汁っ❤ 一流のトレジャーハンターは、どんなものだって無駄にしないんだからっうひひっ❤」

 そして股間から垂れた愛液を止める下着はなく、そのままダンジョンの岩肌を濡らしていく。愛液を垂らすのに連動して、フィリアは歩きながら腰や尻を大きく振っていき、ただ垂れるだけではなく愛液を撒き散らしていく。

「め、めじるしぃ……❤」

 これでダンジョンに迷ったとしても、この愛液の目印があれば迷うことなく――迷うも何も、そもそも今まで一本道だったわけだが、フィリアはそのことには気づかずに――そのままダンジョンを進んでいく。

「ほっ❤ ほっ❤ ほっ❤ ほ……?」

 妙なかけ声とともに、出来損ないのダンスのように腰を振りながら、ダンジョンに目印をつけて歩いていたフィリアの目に、新たな建造物が飛び込んできた。それはどう見ても扉であり、岩場を切り抜いて作ってあるらしいそこは、明らかに人工物だった。

「…………」

 両手を頭の上に組んで妙なかけ声のまま愛液を大地に撒き散らしていくのを止めて、フィリアは真剣そのものの表情で、新たに現れた扉を見つめていた。腕を組んで考え込むポーズを取ると、小さくはない胸が乳首ごと腕に押し潰され、一瞬だけ快感で破顔してしまうが。

「ふむ……」

 そもそもダンジョンに丸腰かつ全裸、さらに下着を顔に被ったままでいる以上、真剣そのものな様子からして滑稽なのだが。それでも性感体が感じる度に中断しながらも、その扉を調べるフィリアの姿は、まさしくトレジャーハンターそのものだった。

「やっぱり、罠よね」

 扉の観察を終えたフィリアは、確信してそう呟いた。ここまでに分かれ道はなかったので、この扉がこの先に続く扉だというのは間違いないが、恐らくはただ開けただけでは何か起きる。アラームトラップかな、とフィリアはトレジャーハンターとしての勘で決めつけ、このまま開ければ周囲のモンスターを呼び寄せてしまうだろう。

「でもそうはいかないのよね~」

 長年トレジャーハンターとしてやってきた自信が、フィリアをまるで躊躇させることはなかった。罠ということは解除すればいい話で、トラップ解除はトレジャーハンターの役目の中でもフィリアの得意技だった。

「よいしょ!」

 フィリアは扉に触れないように気をつけて近づきながら、扉に設置されたトラップを解除しようと、大きく股を開いて女性器を扉に見せつけるように突き出した。それは男性が用を足す時のような格好だったが、それに比べて足を広げすぎていて、突き出した股間にある女性器が丸見えとなっていた。

「ん~」

 そのままがに股になって近づいていくと、フィリアは股間部に力を込めていく。すると女性器から、今までの愛液とは違う黄金色の液体――小便が放出されていき、その扉を濡らして鼻につく匂いが辺りに広がっていく。

「どんな罠だって、私は解除して、みせるんだからっ!」

 ことVR空間において、排泄機能は極端に無意味なことである。とはいえ排泄のことを全て機能から取り除いてしまえば、現実に戻ってしまった際にどんな悪影響が起こるか分からないので、一応は実装されているというところで、やらなくともまるで問題はない。強いて言えば、VR世界で排泄したくなった場合は、恐らくは現実世界の肉体からのサインだろう。

「ジョボボ~ジョロジョロッ、ジョボボボボ~」

 そんな排泄機能による小便を、ちゃんと『罠解除用の言葉』を紡ぎながら、フィリアはがに股のまま左右に振りまいていく。乱射された小便は無差別に大地と扉を濡らしていき、アンモニア臭に似た不快な匂いが我慢出来ないほど広がっていくが、顔面にパンツを被ったフィリアにその匂いは届かない。

「おっ……ふぅ。うん、我ながら完璧!」

 流石にVR空間用のアバターと言えども、出せる量に限界があり、いつしかフィリアの排泄は止まっていく。小便に濡らされた扉や小さな水溜まりとなった足場と、パンツでマスクをしているところも含めて、フィリアは満足げにガッツポーズをする。

 そして小便で出来た水溜まりに足を踏み入れ、先に進むための汚れた扉に歩を進める。扉は、まるで最初から罠などかかってなかったかのように、何の抵抗もなく開いていた。

「……人?」

 その扉を小さく開け、扉の向こうを伺ってみると、そこには自分と同じプレイヤーが立っていた。軽装の鎧を付けた男性プレイヤーがいて、苛立ちながら何かをずっと呟いていて、よく意味は分からないが「高い金を払った」だの「イカレ女はまだか」だの。

「……むぅ」

 本来なら同じダンジョンを攻略するもの同士、気軽に会話でもして情報の交換でもしたいところだったが。今日に限ってフィリアは、「このダンジョンは一人で攻略したい」と思っていた。自分だけの手で一からこのダンジョンを見つけ、そして攻略してきた故にか、あの男プレイヤーを脅かして、自分が先に行こうと考えたのだ。

 となると問題は、どうやってあのプレイヤーを脅かしてみせるかだが、それについてはフィリアに考えがあった。SAOというデスゲームで暮らした経験で、人間を脅かして撤退させるくらいはあるのだから。

「ふふっ」

 まさかあのデスゲームのことについて、いい思い出になる日が来るなんて――と、フィリアは内心で笑いながら。小便の水溜まりから勢いよく扉を開け、男プレイヤーが反応するより早く、向こうの通路へと躍り出た。

「ウキッ♪ ウキキキッ♪」

 猿のような鳴き声をあげながら、男プレイヤーの前に座り込んだ。胡座をかいて舌を突き出して、ハッハッと小刻みに息をする。フィリアに分かる限りに、出来る限り猿の真似をしてみせる。

「ウキキキッ❤ うひっ❤」

 SAOで厄介だったモンスターの一つで、行動はまるで猿そのものだったけれど、油断していると手痛い一撃をくらわせてくる難敵だ。ダンジョンにいるのを見たら、一目散に逃げ出さなくてはならないほどに。

「キキッ❤ キーキッ❤」

 そのモンスターの演技をしてみせれば、どんなプレイヤーでも一目散に逃げるほどだ。しかし目の前の男プレイヤーは、少しだけポカンとした後、腹を抱えて笑い出した。その後、フィリアの後ろにいたプレイヤーと話しだしたけれど、『後ろにプレイヤーにいない』ので中空に話しかけたのだろうか。

「ウキヒッ❤ キキキィッ❤」

 どこかに話しかけるようでは、まだフィリアの演技力は足りていないらしい。フィリアはトレジャーハンターとしての矜持が傷つき、もっと猿に似た演技をしてみせる。股を大きく開くと素足を舐めながら、ここまで濡らしてきた女性器を男プレイヤーに見せつけていく。

「ウキキキッ❤」

 ずいぶん塗れてるな、と言ってくる男プレイヤーに、トレジャーハンターなんだから、ダンジョン攻略しながらオマンコ濡らして来るのは当然でしょ――とフィリアは言い返してやりたかったが、今は猿型のモンスターの真似をしているので、人間の言葉をしゃべるわけにはいかなかった。代わりに男プレイヤーのズボンのベルトを、モンスターの武装解除に見立てて鳴き声をあげながら外していくと、男プレイヤーの勃起した陰茎がフィリアの顔に当たる。

「おっ……おウキっ❤」

 眼前に現れたソレについつい素で感嘆の声を漏らしてしまうが、何とかボロが出る直前に演技に戻る。そのまま装備品を溶かす攻撃である、対象のものを舐め回す猿型モンスターの真似をしようとしたが、その前に男プレイヤーに押し倒されてしまう。

「キャッ!?」

 悲鳴をあげて岩肌に寝転んだ形になり、胸から股間まで全身を男プレイヤーに晒す。そのまま指で女性器を軽く弄られたが、洪水を起こしているようなそこには、もはや何の抵抗もなかった。

「ぁ……ウキィー――キッ❤」

 押し倒されてまた演技を忘れてしまっていたことを思い出し、猿型モンスターがやられそうになった時に、命乞いのような鳴き声をあげる真似をしようとした瞬間、男プレイヤーが乱暴に肉棒をフィリアの膣内に挿入した。ここに来るまでに流された愛液によって、男性器をまるで迎え入れるようだった。

「ウキー❤ ウキキッ❤ おほほぉ❤」

 フィリアの脳内に快感が襲いかかり、もはや自分が猿型モンスターなのか人間なのかも覚束なくなり、ただ矯正だけを男プレイヤーの耳元であげる。VR空間による奥まで貫かれる感覚は、快感を直接的に脳へと浸透させていく。まるで快感という鈍器で直接殴られているような感覚に、フィリアは思考すらも曖昧となっていったが、1つだけ分かったことがあった。

「おたから……おたからだぁ❤」

 フィリアの思考を埋め尽くした物体こと、フィリアの身体を暴力的に貫いている肉棒を、快感に身をよじりながらも彼女は愛おしげに撫でた。そのフィリアを支配する男根こそが、フィリアにとって唯一に価値がある『お宝』だったと確信する。自分はこの『お宝』の為にだけ生きていると――

「だから、おたから、もっとちょうだい……❤」

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「ねぇねぇ、いるー?」

 ユウキは相変わらずの明るさのまま、ある宿屋に入っていた。それが相変わらず仲間のために振る舞われているなら、の話だったが。

「ご主人様ー? いないのー?」

 媚びた様子で何者かを呼ぶユウキの声色は、普段の様子とはまるで違っていた。宿屋を探し回るユウキの手は何者かと手を繋いでいたが、その彼女は人形のように力を感じなかった。

「ちぇっ、せっかくシリカを手に入れてきたのに」

「…………」

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 感情もなく立ち尽くす友人を一瞥することもなく、ユウキは不満げに愚痴を漏らす。そして不承不承ながらもシリカに向き直ったが、その後にすぐさま宿屋の扉が開いた。

「ご主人様!?」

「失礼する」

「……何の用?」

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 しかし宿屋の扉を開いたのは、ユウキの期待した人物ではなかった。褐色の肌をしたそのNPCに対して、ユウキは目に見えて不満げに、というらしからぬ対応をする。

「アスナから言われてきたのだが……」

「……なんだ、アスナの戦利品かぁ」

 彼女の言っていることも聞かずに、ユウキはさらに落胆した様子を見せる。まだそのNPC――キズメルは何かを喋っていたようだったが、全くユウキの耳には届いていなかった。

「アスナは流石だなぁ。もう『入力』も終わらせてるし、じゃあ、ボクもシリカにやってあげないと……君は、これでも着て散歩して来たらどうかな」

「了解した」

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 そのまま着替えて出ていくキズメルを無視してユウキはシリカの方を向くと、メニューを操作して鼻歌交じりに何かを入力していく。こうしてアバターに仕込んだチップに『入力』することで、脳内にその感情がそのまま『入力』されていく。

「シリカはねー、どうしよっかな! 男の人に見られると、感じちゃうようにでもしちゃう?」

「…………」


 物言わぬシリカに嬉々として語りかけるユウキを――満足げに眺める男がいた。チップの付いている女性を一人除いて自分を見えなくし、宿屋で『変わった』女性たちを見て楽しんでいるのだ。

「ご主人様、何笑ってるのか当ててあげよっか?」

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 その一人除いた人物として、男を膝枕しているストレアがいた。シリカを洗脳していく姿を見て笑う男を見て、愛おしそうにその髪を撫でていた。

「ユウキが友達を洗脳しちゃうような、そんな子になって嬉しいんでしょ? それなら私だってやろうか? なんだってするよ……?」

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「リズさぁん……」

「どうしたの?」

 リズベット武具店の手伝いをすることになったシリカとユウキだったが、任された仕事は客引きだった。そこでリズに、客引き用の衣装を渡されていた。

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「店番手伝うとは言いましたけど、この格好はちょっと……」

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「そう? ボクは楽しいよ!」

「私は恥ずかしいです!」

「もう、シリカったら仕方ないわね……ちょっと待ってなさい」

 そう言いながらリズは店内に入っていき、新たな衣装を探しに行ったらしい。シリカはホッと胸をなで下ろしたが、どこか身体がムズムズしている感覚に襲われていた。

「ねぇシリカ、調子はどう?」

「え、調子って……?」

 するとユウキがシリカの顔を覗き込んでいた。それはシリカの調子を見ているというより、どこか実験動物を眺めているかのような視線で。

「見られると興奮するような変態にしたはずなんだけど……足りなかったかな? もうちょっと上げとくね」

「あ、シリカ! 新しい衣装見つけたわよー!」

「……はーい!」

 シリカは一瞬だけ意識を失うような感覚を味わったが、特に何とも思うことはなく、店内から響いたリズの声に反応する。

「これは……これで……」

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「あたしとユウキの分、今探してるからちょっと待ってねー」

「はーい!」

 さっきよりはマシか、とシリカは再び店外に出た。すると――

「ぁ……」

 店外にいた他の男性プレイヤーの視線に晒されると、先程の気恥ずかしさとはまた違う感覚を覚えた。身体全体が熱を帯びたように熱くなっていき、息がどうしようもなく乱れていく。熱い、熱いと思って手が勝手に――

「ちょ、ちょっと! 何してんのよシリカ!」

「ぇ……ぁ……?」

「はい、リズもね。ちょっと待っててね、後でゆっくりしてあげるから、今はシリカの番」

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 リズの声がしたと思ったけれど、どうやら気のせいらしく。熱いのだから服を脱ごう、という当然の思考のみがシリカを支配し――

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「ぁ……あれ?」

 仲間と同じくゲームを遊んでいたシノンは、突如として街に放り出されていた。どうしても直前に自分がしていた行動が思い出せずに、しばし頭を抱えていた。

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「あれ、シーちゃんじゃないか」

「……?」

「さっきアーたんと話してたみたいだけど、何を話してたんダ?」

「アスナと……?」

 立ち寄ったのは情報屋のアルゴ。アスナと話していたというが、シノンにはそんな記憶はまるでない。どうにか考え込むと――

題

「…………」

「シーちゃん?」

「……ううん。ちょっと来てくれない?」

「え? まあいいガ……」

 そしてアルゴを連れて、シノンはある場所に向かっていく。そこには――

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「あ、こっちこっち!」

「なんダ、みんな集まってたのカ――うわっ!?」

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「…………」

 みんなを見つけて顔をほころばせるアルゴを、シノンは突如として背後から襲った。アルゴは必死に抵抗するものの、敏捷値を重視したステータスの彼女には、シノンを振り払うことは出来なかった。

「あ、やってるやってる」

「やっぱりシノンは力強いねー」

「でしょ? 私の見る目に狂いはなかったと思うの」

 机に座っていたメンバーは、そんな暴れるアルゴを取り押さえるシノンを、まるで見せ物のようにして笑っていた。

「…………」

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「おイ! やめろっテ!」

 ――未洗脳者がいたら、しののんは私たちの目の前で取り押さえて――

無題

 今のシノンの意識は全て、先程アスナに命じられたことが支配していた。渡されたチップを手に、アルゴを無理やりに取り押さえ、無感情に頭部へそれを仕込もうとしていく。

「あと何分ぐらいかかると思う?」

「そうだな~。ボクは――」

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「えへへ……えへへへ……❤」

 薄暗い森林の奥地。とある少女が水たまりの上に、嬌声をあげて座り込んでいた。指は自らの股間に添わせており、その顔はどこか中空を見上げていた。

「えへ❤」

 そしてピクリと身体を震わせると、少女は水たまりから立ち上がった。そして両手で自らの腹を撫でながら、フラフラと歩き出していく。

「分かってますからぁ……えへへへ……」

 その母親のように撫でているお腹に優しく語りかけながら、少女は森を歩いてベースキャンプのような場所へとたどり着いた。そのキャンプにはモンスターが現れることはなく、もっぱらプレイヤーたちの休憩場所として使われる場所だった。

「あっ! ユイ!」

「ストレア……」

 少女――ユイが訪れたベースキャンプで見たのは、自身の妹とも言える存在である、ストレアの姿だった。その人間離れしたスタイルをさらけ出す開放的な服装をしていて、得物である大剣は壁に立て掛けられていた。

「どうしたの、そんな格好で!」

「ちょっと転んでしまって……」

 ストレアが見たユイの格好は、まるで泥遊びをしていたような酷い格好で、ドロドロに塗れてしまっていた。それも水たまりにいたからであり、ユイの身体をメニューから取り出したタオルで拭いてやる。

「そもそもユイがなんでこんなところにいるのー?」

「ママと来ていたんですけど、はぐれてしまって……」

 ユイが言うママ――アスナの姿はなく、まだ森の中にいるのだろう。そう思いながら、タオルで全身を拭いてやっているストレアには、ユイの表情を伺うことは出来なかった。何か品定めをしているようにストレアを見て、彼女らしからぬ妖艶な表情を形作っていた。

「ストレアはどうしてここに?」

「うーん。なんか、きせーせいぶつ? ってのを倒すクエストを受けたんだけど……暗くなって来ちゃって」

 確かに森はもう暗くなって来ており、ダンジョン探索用のスキルを習得していないストレアには、もうクエストを達成することは難しい。森の中に入ったらしいアスナを待つ意味もあり、ストレアはユイの身体を抱き上げながら、ベースキャンプの中に入っていく。

「やっぱりユイったら軽ーい」

「も、もう! ストレアったら……」

 彼女らは人間ではなく、メンタルヘルスカウンセリングプログラム――MHCPと呼ばれるAIプログラムであり、ユイの方が先に開発された経緯がある。とはいえ彼女らは人間と何ら変わらずに、姉妹と呼べる関係を築いていた。

「ありがとうございます、ストレア」

「どういたしまして~」

「お礼に……これ、どうぞ」

 そして二人は、ベースキャンプの中にたどり着く。中はゲーム外に出られるようにベットが用意してあり、ストレアはユイをベットに下ろして、自身もその隣に座る。するとユイから、ストレアに透明の液体が入ったあるコップが手渡された。

「なにこれ?」

「森の中で見つけた飲み物なんですけど、すごく……すごく……美味しいんですよ……?」

「ふーん……」

 興味ありげに手渡されたコップを見ているストレアは、ユイの胡乱としている表情には気づかなかった。舌なめずりして唇を濡らすユイを見ることはなく、ストレアは手渡された飲み物の匂いを嗅いで、とりあえず口に含んでみていた。

「んっ……あ、美味しい」

 一口だけ飲んでみたストレアだったが、どうやら気に入ったらしく。そこからはグビグビと豪快に、まるでジュースのようにその液体を飲み干していく。

「ぷはっ」

「美味しかったですか? じゃあ……もう一杯、どうぞ。気にしないで、一気に……」

「え? あ、う、うん。ありがとー……一気に……ね……」

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 もう一度同じ飲み物を差し出され、ストレアは少し違和感を感じながらも、ユイの言われた通りに一気に飲み干していく。最初は少しずつ、少しずつと飲んでいたが、徐々にラッパ飲みに近い状態になっていき、虚ろな表情でただただその飲み物を飲んでいた。

「ふぁ……もったい、ない」

 そしてそれを飲み干したストレアは、熱にうなされたようにボーッとなりながら、コップを手から取り落としていた。飲み干していた為にほとんど中身はなかったが、少しだけ零れ落ちた液体が床にこびりつく。それを見たストレアは、緩慢な動作で床にこびりついた液体を舐めていく。

「ストレア。そんなに気に入ったんですかぁ?」

「うん……美味しい……美味しいから……もっと……欲しい……❤」

 うわごとを呟いて床を舐めるストレアを、満足げに眺めながらユイは語りかけていく。熱に浮かされたようなストレアは、舌を出してユイに懇願していて、まるでペットのようであった。

「私の言うことを聞けば、もっと飲ませてあげてもいいですよ?」

 ユイ自身もストレアにそう感じたのか、床を舐め続けるストレアの髪の毛を優しく撫でたあと、自身もしゃがみこんで四つん這いのストレアに視線を合わせて。顎を掴んで無理やりユイの方を向かせると、赤ちゃんに語りかけるようにゆっくりと喋っていた。

「言うこと……? 聞く、聞くから……」

 顎を掴まれて顔を向かせられたため、床に零れ落ちた液体が飲めなくなったストレアは、禁断症状に苦しむようにユイにしなだれかかった。息を荒げて抱きついたストレアを、ユイは背中を撫でながら耳元に言葉を囁いていく。

「なら、ちょっとベットにでも横になりましょうか」

「うん……横になる……熱いぃ❤」

 ストレアは耳元で語るユイの言葉に従いながら、ゆっくりとベースキャンプに設えられたベットに横になっていく。そしてベットの上で、もぞもぞとキツそうに動いて、窮屈そうに手足をもじもじとさせて。

「そんなに熱いなら、服なんて脱げばいいのでは?」

「うん……ふく……ぬぐぅ……」

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 そのままユイの言葉に従って、窮屈そうだったのもあって、ストレアは装備を続々と解除していく。ベースキャンプとはいえ、他に誰が来るかも分からない外ではあるが、そんなことはまるで気にしていないように。まずは銀色に光る金属製の装甲、そして紫色を貴重としたインナーに、下着まで装備を解除すると、絹のように白い肌が外に晒された。さらに胸部の装甲も取り外したことによって、規格外の大きさを持つ胸が露わになった。

「言うこと聞いたから……早くぅ❤ 早くちょうだいよぉ❤」

「ちょっと待ってください。よい……しょっと」

 全裸を晒したストレアが内股を擦らせながらおねだりする様子を見ながら、ユイはスカートの裾を掴むと、シーツの上に寝転んだストレアに馬乗りになっていく。そのままユイは尻部をストレアの顔がある方向へ向けると、既に下着などない秘部をストレアに晒す。

「はいストレア。どうぞ」

「は……ええ……?」

 熱にうなされたストレアの脳でも、ユイのその行動の意味は分からなかった。それでもユイのスカートをめくってみると、その太ももに何やら液体がつたっていることに気づいた。

「の……のど、のどかわいたぁ……」

 先程までたくさん飲んでいた筈なのに、ストレアの喉は燃えるように熱かった。何であろうと飲みたいという意識が全てを支配し、無意識にストレアはユイの太ももを濡らしていた液体をペロリと舐めると――

「――オォッ❤」

 ――その途端、ストレアの身体中を電撃が伝わったような感覚が支配し、思考も何もかもが一瞬だけ真っ白となった。その味はまさしく、先程までに飲んでいた、あの透明な液体にそっくりであり。太ももに垂れていた液体をまたもや舐めてみたものの、あくまで垂れているだけでは量も足りずに、ストレアはその液体が漏れだしている元を探しだした。

「ふふ。そんなに美味しいですかぁ? 私のマン汁❤」

「オ゛ッホ❤ ジュルルルルッ❤ ジュルルッ❤」

 すぐにもその液体の排出元が、ユイの女性器からだと気づいたストレアは、少しだけシーツから身を起こして馬乗りになったユイを両手で抱えると、ユイの女性器に自身の顔ごと突っ込ませた。舐めているというよりも、貪っているというのが正しい形容の勢いで、無尽蔵にユイの女性器から溢れる愛液を吸っていく。

「ズジュルルッ❤ おぃひ❤ ユイのオマンコ汁おぃひー❤」

「もう、ストレアったら……」

 もはや人間の尊厳などあったものではなく、ストレアは狂ったようにユイの股間に顔面を突き合わせ、溢れる愛液どころかお尻だろうが構わず舐め回していく。シーツや床にストレアの唾とユイの愛液がミックスしたぶちまけられるものの、もはやストレアの目にはユイの女性器しか映っていなかった。

「溺れりゅぅぅっ❤ ユイのオマンコ汁に溺れ死んじゃうぅ❤ えへへぇ❤」

「良かったですねー、ストレア。よいしょっと」

 それでも嬉しそうにユイから排出される液体という液体を、ゴクゴクと音をたてて飲んでいくストレアを、ユイは満足げに微笑みながら。彼女もまた、ストレアの女性器に対して指を入れてみせた。ストレア自身にも洪水のように分泌されている愛液によって、何の抵抗もなくユイの指を迎え入れた。

「あ゛ーっ❤ オマンコグチョグチョするのやめへっ❤ 力入んなくなっちゃぅ❤ オマンコ汁飲めないよぉぉぉ❤」

「はいはい。ちょっと我慢してくださいね。これもストレアの為ですから」

 もはや元の人格すらも残っているか怪しいストレアとは対照的に、ユイはただ作業的にストレアの女性器を指で広げていく。それとともに話しかけてはいるものの、ストレアに聞こえているとは思えなかったが。

「ジュルルルルッ――そろそろですね!」

「ユイぃ……オマンコ汁飲めないよう……逃げな――」

 そしてユイがストレアの愛液で汚れた指をしゃぶって何かを確認すると、唐突にストレアの上から退いてしまう。ずっと飲んでいられると思った液体が、いきなりユイごと遠くに行ってしまったストレアは、当然ながら不満げな表情と言葉を漏らすも――

「――キャァァァァ!?」

 ――すぐに自身に起きていることに気づいて、森中に聞こえるような悲鳴をあげていた。

「ストレア? どうしたんですか?」

「ユ、ユイ……? だって、これぇ……」

 先程までの正気を失った状態とはまるで違う、まるで何が起きているか分からないようなストレアに、ユイはニッコリと微笑んで語りかけていた。しかしストレアが震える指で指し示したのは、自らの腹――まるで『妊娠』したように膨らんだ、このVR世界ではありえない筈の、自らの腹部だった。

「マスターは優しいですから。妊娠なんて絶対に出来ないことを、私たちに体験させてくれたんですよ?」

「ユイ……? 何言ってるの……?」

 確かにVR世界に子供を妊娠する意味がない以上、このVR世界の住人たる彼女たちが、現実世界の女性のように、子供を孕み出産することはないだろう。ただし現実に、ストレアの腹部はボッコリと膨らんでおり。

「大丈夫! 怖いのは、出産のために洗脳液の効力が弱まってる今だけですから! それに――」

 未だに現状を理解できないストレアに対して、ベースキャンプ内を自由に歩き回るユイは、ベットで寝転んだままのストレアに近づいた。そしておもむろに豊かな乳房を掴むと、その先端にある勃起した乳首を掴んだ。

「んひぃ❤」

 すると、今の今まで何がなんだか分からずに、疑問の表情を浮かべていたストレアが、ユイに乳首を掴まれた瞬間に破顔する。一瞬にしてその表情は快楽に支配されただけではなく、乳首の先から白濁液が、ストレアの顔面にかかるほどの勢いで漏れ出した。

「え……んひひ……❤」

「こんな風に、出て来る体液、全部が洗脳液になるように、ちゃんと改造されてますから。安心していいですよ」

 それにしても、ちゃんと母乳まで出してもらえるようになるなんて、マスターは優しいですね――と心底羨ましそうに語るユイに、ストレアは得体の知れない恐怖を感じつつも、何か言い返してやろうと思うと。ストレアは顔面に付着した、自らの乳首から先程射出された白濁液に、どうしても意識が集中してしまう。

「あ……んっ……」

 ペロリ、とみっともなく舌を出して、顔についた白濁液をストレアは舐めてしまう。すると言いようもない多幸感を感じ、無意識に自らの乳房を揉んでしまう。それだけでも乳首から多少の白濁液が出て来てしまい、身体が勝手にその液体を求めてしまう。そしてその豊かな胸部は不幸にも、ストレアの乳首を自身の顔面に持って行くことも容易であり。

「ぁ……ダメ、ダ……ンチュルルルゥ❤ ジュルッ❤」

 そのままストレアは、自らの乳房をしゃぶりだした。そして乳首から出る母乳は、口内に爆発的に広がっていき、まるで溺れた時のようにストレアの喉に入っていく。

「んふぅー❤ んふぅー❤ オォォォッ、ゲブッ❤」

 窒息して意識を失うか失わないか、ギリギリのところでストレアは自身の乳房から口を離す。舌を出して快感に震えながら、まるで目の前のユイなどいないかのように、鼻から白濁液を流し下品にゲップをして、再びシーツに倒れ込んだ。

「まったくもう、ストレアったら……起きたら、すぐ出産ですからね……」

 その一部始終を優しく笑って見ていたユイが、意識を失って倒れたストレアの髪を愛おしげに撫でた。特にその膨らんだ腹部を見ながら――

「オッ……ホォ?❤」

 ――だがストレアの意識の回復を待つこともなく、ストレアの腹部がゴボゴボと音をたて始めた。まるで腹部内で何かが暴れ出しているようで、意識を失いかけていたストレアも、その暴力的な衝撃に目覚めざるを得なかった。

「良かったですねストレア。マスターが目覚めそうですよ?」

「や、やだぁ、や――オホホォ❤ ア゛ヒヒッ❤ アヒヒヒヒヒヒッ❤」

 ユイの言葉など、ストレアはまるで聞いておらず、ただ痛みに耐えるように腹部を抑えていた。最初は拒絶反応を見せていたストレアも、徐々にその痛覚が快感に変わっていくのを実感する。女性器から愛液を噴出しながら、徐々に女性器が解放を望むように開いていく。

「赤ちゃんを産むところをマスターに差し出して、また新しいマスターを産んでくださいね。ストレア」

「頭ぁ……頭おかしくな――イグゥゥゥゥゥッ❤❤❤」

 VR世界のアバターに子宮など存在しないが、まるで本当に腹を痛めて産んだかのように。ストレアの女性器から、今まで彼女が飲んだ液体全てが、洪水のように噴出していく。その『出産』の最中、ストレアは痴呆のような笑みを浮かべながら、快楽を訴え続け、白目を剥いて涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになりながら嬌声をあげる。

「ぉ……ォホ……❤」

「よくやりましたね、ストレア。おめでとうございます」

 ストレアは今度こそ薄れいく意識の中、ユイの言葉と、ゲル状の獣型モンスターの姿を見た。その液体で出来たモンスターは、ストレアが噴出した液体で出来ており、ベースキャンプを出てどこかに歩いていき――



「あ、ベースキャンプ!」

「助かったぁ……」

 森をさまよっていた二人の少女プレイヤーは、どうにか休めそうなベースキャンプを発見した。その近くに行ってみると、モンスターが現れないフィールドにもなっており、二人は安心してそのベースキャンプの中に入っていく。

「いらっしゃいませ!」

「あれ?」

「NPC……?」

 そこにいたのは、黒髪にワンピースが似合う少女。どうやらNPCのようで、せっせと机に椅子、飲み物を用意していた。

「ユイって言います。このキャンプの管理をしてるんです。あ、お飲み物どうぞ」

「へぇ……ここにNPCがいるなんて聞いたことなかったけど……」

「まあいいじゃん。ありがとー」

 ベースキャンプにNPCがいることを知らなかった二人だったが、ここに来るまでに疲れていたということもあり。ユイと名乗ったNPCの少女が差し出してきた飲み物を、遠慮なく飲み干した。

「あ、美味しい!」

「牛乳……?」

「はい! 妹が作ってるんですよ!」

「妹さん? ここにいるの?」

「はい! 奥でこの飲み物を作ってくれてる……自慢の妹なんです!」

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「あ、起きた?」

 その男が目覚めた時、最初に目に入って来たのはその少女だった。ベッドで横たわる自分に添い寝をしているような彼女――ストレアは、少し不満げな表情を見せていた。

「もう……あんな遊び、やめてよ? ご主人様の遊び道具にされてもいいけどさ、壊れちゃったらもったいないでしょ?」

 腹部を撫でて笑いかけてくるストレアに、男は前回の遊びのことを思い出す。液体系のモンスターを寄生させてどうなるか、という遊びだ。

「ほら、遊び道具ならさぁ……そこにいるしさ? アスナ達が捕まえてきたのが」

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「…………」

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 ストレアが指を向けた方向を見てみると、そこには物言わぬ人形のように立ち尽くす二人の少女がいた。男が気だるげな様子でベッドから立ち上がると、まるで命令を催促するように近づいてくる。

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「ちょっとどいて。ほら、ご主人様が起きる前に、ご飯作ってたから。ちょ、ちょっと見た目は……悪いかもだけど」

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 それをストレアは無慈悲に突き飛ばすと、男に自身が作った料理を見せつけてみせる。突き飛ばされたキズメルは抵抗することなく倒れ伏すが、そのまま文句一つ言うことなく立ち上がると、またもやそのまま立ち尽くすままで。

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「はい。あーん……」

「ご主人様ー! いるー?」

 甲斐甲斐しく味は悪くないその料理を男の口に運ぶストレアに、朗らかながらも媚びたような声が屋敷中に響き渡った。

「……もう、ご主人様と二人きりだったのに……ユウキ、こっちこっちー!」

「あ、いたいた!」

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 聞こえないような小声で文句を言いながら、ストレアはユウキを屋敷に迎え入れた。そのままユウキはストレアには目もくれることもなく、男に向かって抱きついた。

「遊び道具を集めてくる仕事も楽しいけど、やっぱりご主人様と会えなくなるのは寂しくてさー……ちょっとストレアが、ズルい」

 ユウキは男に抱きつきながらも、嫉妬が混じった視線でじろりとストレアを睨む。しかしそれも一瞬のことで、すぐに男への甘えるようなポーズへと戻っていく。

「……何しに来たの? ユウキ」

「そうだ! ズルいっていえばね。フィリアがさ、リーファをどんな風に洗脳するか、ご主人様に決めて欲しいんだって」

 ボクやアスナは、どんな風に洗脳するかも自分で決めてたのに、ズルくない? ――と語るユウキに、男は笑って応えていた。

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「リーズっ! シノン!」

「ひゃっ!? やめてよもう、まだ着替えてないのに……」

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「あー、もうびしょびしょじゃない……」

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 水辺で遊ぶ少女たち。それは一見すると、微笑ましい光景そのものだった。

「ごめんごめん! シリカはー?」

「さぁ? どっかで動物に襲われて喜んでんじゃないのー?」

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「あー……誰よ、そんな風に洗脳したの?」

「ユウキ」

 いや、正しく微笑ましい光景ではあった。それぞれ会話の内容に対して、まるで違和感を感じていないことを除けば――であるが。

「ま、まあまあいいじゃん。ボクなんてさー、前にご主人様への好感度、全部白紙にされちゃったこともあるんだよ?」

「それなら私も。その上、寄生生物なんて植え付けられちゃったりして」

「ここがVR空間を使った洗脳実験場で、あたしたちが実験台な以上当たり前なことだけど、ちょっと辛いこともあるわよねー」

「そんなこと言って、リズ。この前、ご主人様の装備作るーって、イチャイチャしてたじゃん!」

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「うっ……それならアスナなんて、お弁当を手製で作ってたじゃない?」

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 水遊びをしながら、それぞれ自分たちの日常を語らう少女たち。その日常自体は狂ったものであったが、少女たちはお互いに笑いあっていた。話の流れで矛先を向けられたリズは、何とかユウキの追求をアスナに逸らした。

「そうそう。私がご主人様とデートしてたのに!」

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「ふふふ。まあ、料理スキルの差ってところかな……何があったか、聞きたい?」

「む……悔しいけど、聞きたい」

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「ユウキは素直ね。でも何をしたわけじゃないの。一緒に歩いて、作ったお弁当を食べてもらって、それで……」

「わたしたちが邪魔したんだよねー?」

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「……確かに、フィリアとストレアも一緒だったから、予定とは違ったけど。ちゃんと『ご褒美』は貰ったし……」

「いいなぁ……というか、ご主人様はどうしたのさ! ボク、ご主人様と水遊び出来るって聞いたから来たのに!」

「それなら向こう」

 その時のことを思い返しながら微笑むアスナたちに、ユウキは水しぶきを起こしながら癇癪を示す。そんな様子にリズは苦笑しながらも、ユウキのお目当ての人物がいる方向に指を向けると、そこにいたのは。

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「…………」

 胸部が透けて見えるサラシにもかかわらず、一心不乱に竹刀を振る滑稽なリーファと、それを舐め回すように見る一人の男。そんな光景を見て、ユウキはようやく納得する。

「あ、そっか。リーファの洗脳してるんだっけ……フィリアの代わりに」

「うん。下半身裸で弓矢とかやらせてたんだけど、私にはいいのが思いつかなくて……」

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「よく言うわよ。ご主人様自身に洗脳させれば、ご主人様好みになるに決まってるんだから」

「……ふふ。これで誰が一番いい奴隷を差し出したかは決まりよね」

「ふんだ。どーだか」

「でもどうなっちゃうんだろうね、リーファちゃん。楽しみ」

「…………」

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「ママ。これから何をするんですか?」

 SA:Oのあるフィールドに設えられた教会の前で、ユイはそんなことをアスナに聞いてきた。その質問を聞くと自然に顔がほころんでしまい、アスナはにこやかに娘に語りかけた。

「それはね、ユイちゃん。結婚式だよ」

「結婚式……ですか?」

「うん。ママたちの結婚式」

 そして教会の扉が開く。もはや待ちきれないとばかりに教会に入ると、アスナはユイを来賓の席に座らせた。そこは教会でもっとも見晴らしのいい場所で、しっかりと自分の晴れ姿を見てもらいたい、というアスナの思いだった。

「それじゃあユイちゃん、しっかり記録しててね!」

「はい!」

 そう言い残して、アスナは花嫁の控え室に向かっていく。現実ならば化粧や着付けなど、様々なことがあるだろうが、このフルダイブ空間ならばボタン一つで一瞬だ。

 そして時間になるとともに、花嫁が入場する。いや、正確には――花嫁『たち』が。

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「晴れ舞台なんだから、ちゃんと撮ってよね!」

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 そして記録結晶を構えた来賓たちを前にして、花嫁たちが挨拶をするとともに、その背後に写真が表示されていく。その写真は、それぞれ花嫁たちのベッドシーンであり、もれなく記録結晶に収まっていく。

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「こら、ユウキ。コホン……今日はあたしたちなんかのために、集まってくれてありがとね」

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「はい! わたしたち、ここがVRを使った洗脳実験施設とも知らずに、みんなでログインしちゃって……」

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「全員、心の底からご主人様に洗脳されちゃってまーす!」

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「それで身体も無茶苦茶にされちゃって、もうどうしようもないのを、ご主人様が貰ってくれるそうなの」

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「だから私たち、みんな揃ってご主人様の花嫁さんになるんだ~」

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「見ての通り、みんなそれぞれご主人様と寝ちゃってるしねー」

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「でもそんなボクたちじゃ、普通の花嫁さんにはとてもなれないから……ね、アスナ」

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「うん。私たちは性奴隷妻になることを、ここにご主人様に誓います――」

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「ふふ。懐かしい」

 そんな光景がテレビから流れてくるのを、彼女たちは懐かしそうに笑いながら見ていた。

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「あの頃は、VR空間でしか洗脳されてませんでしたからねぇ……」

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「わたしたちの実験記録のおかげで、こうして現実でもちゃんと洗脳されたままなんですもんね!」

 和気あいあいと話す『現実』の彼女たち。リビングにいるシリカとシノン、直葉だけではなく、温泉かと見紛うような風呂にはアスナとリズもいた。

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「会社の調子はどう? 順調? そう、じゃあ今月も入金、よろしくね」

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「どう? 大会社のご令嬢様?」

「やめてよ、もう……うん、大丈夫そう。まったく、ご主人様に貢ぐぐらいしか存在価値のない会社なんだから……」

 そうして愚痴るアスナの耳に、誰かが新たにお風呂場に入ってくる物音が聞こえてきた。この屋敷ではそう珍しいことではないが、開いた扉の先にいたのは、見知った友人である彼女たちではなく男性で。しかしその男性に向かって、むしろ待っていたかのように、アスナは小さく微笑んだ。

「今日もよろしくお願いしますね――ご主人様♪」

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「お姉ちゃん、久しぶりー!」

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「久しぶりー」

 セブンとレイン。現実世界の二人は姉妹関係にあったものの、妹のセブンはアイドルとVR空間の研究者という二足のわらじを履いており、忙しくてなかなか姉妹二人で遊ぶ、ということが出来ずにいた。

「仕事の方は大丈夫なの?」

「うーん……なんかポッカリ時間が空いちゃって。でもこれを機に、お姉ちゃんに追いつくわよー」

「えへへ。お姉ちゃんも楽しみだよー」

 その間に姉のレインはそこそこにこのゲームをやっていたようだが、すぐに追いつける程度のレベル差だった。そうして姉妹で遊べる時間が取れた二人が話していると、1人のNPCが近づいてきていた。

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「…………」

「あら?」

「ああ、この子はね。最初のチュートリアルキャラで、プレミアちゃんって言うんだ。色んな……色んなことを教えてくれるよ?」

「へぇ……でも何だか、人形みたいね……」

 VR空間の研究者という職業柄、近づいてきた物言わぬNPCをジロジロと観察するセブン。確かに身じろぎ一つしないそのNPCは人形のようだったが、セブンの姿を確認するとゆっくりと動き出した。

「あら、チュートリアルの始ま――!?」

 するとプレミアと呼ばれたNPCが、突如としてセブンを拘束すると、その唇にキスをしていた。突然の行動にセブンは驚愕するものの、拘束されているせいで逃げることは出来ずに。

「お、お姉ちゃ、助けっ……」

「え? もう、暴れちゃダメじゃないセブン。色々、教わるところなんだから」

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 そして助けを求めた姉も、何かよく分からないことを言いながら、暴れるセブンを取り押さえた。そして今は何が起きているのか、姉が何を言っているのか、理解しようとしたセブンの思考にノイズが加わっていた。

「あ、アタマが、い、いた、い……――」

 まるで雑多な情報が無理やりセブンの脳内にぶちまけられているように、プレミアにキスをされながらセブンは頭痛を訴える。そしてプレミアがセブンの唇から離れると、その頭痛は収まった代わりに、今度はセブンが人形のように立ち尽くす番だった。

「セブン、プレミアちゃんに教えてもらった? ここがどこで、あなたが誰なのか」

「ここは……VRを使った洗脳施設で……あたしは……あたしは……」

「うん。注文通りに洗脳しきれてない。ありがとね、プレミアちゃん」

 そしてプレミアはどこかに歩いていく。また新しいプレイヤーに『チュートリアル』を教えに行くのだろう。

「ふふふ。私もね、昔からセブンを洗脳するのが夢だったようにされちゃったんだ……ほらセブン、どうぞ」

「うん……」

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「あ、レイン。調子はどう?」

「うん。いい感じかな。本人に聞いてみる? ね、セブン」

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「あたしは……今までご主人様に会うために生きてて……アイドルをしてたのは……お金を稼ぐためで……VR空間の研究をしてたのは……ご主人様のお手伝いをするためで……」

「へぇ……新しい人たちはプレミアちゃんのおかげで洗脳出来てるけど、セブンちゃんがいれば役にたつわよね!」

「でしょ? 本当に自慢の妹なんだー……あ、向こうにプレミアちゃんいる。新しい人が来たんだねー」

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 これからもこうして、このVR空間の世界は発展するだろう。もう一つの現実として。

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