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はがない 夜空

「隣いいですか?」

「…………」

 三日月夜空が帰りの電車に乗っていると、知らない男子生徒が話しかけてきていた。本を読んでいるので、という名目で無視していると、その男子生徒は構わず夜空の隣に座った。

 その勝手な行動にイラついた夜空は、文句を言ってやろうと男子生徒と目を合わせ――

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「夜空って友達いないんでしょ?」

「あ……ああ」

 ――一瞬ボーッとしていると、隣にいた男子生徒が話しかけてきていた。確かに友達はいないが、小鷹がいればいらないのだから。

「じゃあさ、俺と付き合わない?」

 突然の男子生徒からの申し出。容姿だけは優れていた夜空には、こういった告白を受けた経験もあった。それら全てを手酷く断っていたものの、今回その男子生徒からだけは。

「そうか……その手があったか! お前、天才だな!」

 夜空は興奮冷めやらぬ口調でそう言った。こうまで興奮したのは小鷹のために隣人部を作った時以来だ。この男の言う通りだ、彼と付き合えば全て解決する……!

「まあまあ、落ち着けよ」

「あ、す、すまない。ちょっと興奮してしまって……改めて、私と付き合ってくれないか?」

 彼にたしなめられたことが恥ずかしくて、咳払いをして一旦落ち着く。いつの間にか夜空が頼む側になっていることに気づかず、夜空は彼に告白していた。

「うーん……そうだな。髪切ってショートにしたら、付き合ってやってもいいけど? あ、俺ここで降りるから」

「ショート!?」

 それだけ言い残すと、男子生徒は夜空を残して電車から降りていってしまう。夜空にはどうしてもショートに出来ない理由があった。だが、ショートにしなくては彼と付き合えない……

「ショート……」

 ――そして次の日、その長い髪の毛をばっさりと切った夜空と、件の男子生徒が話していた。

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「ど、どうだ! 切ってきたぞ! これで……」

「うん、似合う似合う。じゃあ今度は、そこで小便してよ」

「しょ、小便!?」

 似合うとか似合わないとか可愛いとか可愛くないとか、てっきりそう言ったことだと思っていた夜空は、すっとんきょうな声を出した。

「そうそう、小便。俺、人前で小便する子としか付き合えないんだ」

「うっ……小便……み、見てろ! やってやる!」

 そうヤケクソ気味に言い放った夜空は、その場にしゃがみ込み。

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「うっ、ううう……」

「ありがと。じゃあ次は――」
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