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アクセル・ワールド リクエスト

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「遅いぞ」

「すいません、先輩……」

 公園に二人の男女の声が響き渡る。デートの待ち合わせでもしていたのか、先輩と呼ばれた黒髪の少女――黒雪姫が、遅れて来た男を『見上げながら』言っていて。

「冗談だよ。私が早く着すぎただけなんだ……その、楽しみで」

「先輩……」

「ほ、ほら! 約束のプレゼントだ!」

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「すごい……俺の好きなものばかり、どうして?」

 照れ隠しとともに渡された包装紙には、男の好きな間食が包まれていて。その言葉にすっかり気をよくした黒雪姫は、驚く男に向かって指を突きつけてみせる。

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「君の好みなど全て把握しているよ、少年」

「じゃあ……俺がもっと欲しいものも?」

「だ、だから君はどうして、そういうことを平気で言うんだ!」

 年長らしい顔を見せていた黒雪姫だったが、近づいて肩を抱いてきた男にすっかりペースを乱されてしまう。しかし頬を紅潮させながらも、あえて男に身を任せていく仕草に、二人の男女の関係性を感じさせた。

「だが、まあ私も……君のそういうところは、嫌いでは……ない」

「そろそろ行きましょうか。先輩がビックリさせてくれるって聞いて、楽しみで」

「そ……そうだな」

 そう言って二人は寄り添ってどこかに歩いていく。到着した場所は男の家らしかったが、黒雪姫は勝手知ったる我が家のように上がり込むと、リビングに置いてあったクローゼットを開けた。

「ちょっと待っていてくれ……ふむ。ど、どうだろうか?」

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 黒雪姫は男の前で馴れた手つきで学生服を脱ぎ捨てると、クローゼットの中にあったメイド服を着てみせる。それを男はストリップショーでも見るからのように、ソファーで座って見物していた。

「似合ってるよ、先輩」

「そ、そうか……しっかり選んだかいがあったというものだ……他にもあるから、どれがよかったか教えてもらうと助かる」

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「はいはい」

 そうしてメイド服だけではなく他の服を選んでいた黒雪姫だったが、次の服を選びながら突如として腕を止める。

「先輩?」

「あ、いや……変なことを考えてしまった。私はお前をどうしようもなく好きになるように洗脳されたとはいえ、どうしてこんな変態のような真似をしているんだ?」

 ……まるで天気予報を家族に聞くかのような気軽さで、黒雪姫は男にそう疑問を呈した。そう言いながらも止まっていた腕は動きだし、メイド服から新たな服に着替えていたが。

「そもそも君は……誰だ? 私は――」

『ロッサ』

「あ――」

 真実にたどり着こうとした瞬間に、男がそう呟いただけで黒雪姫は人形のように沈黙する。

「そろそろ調整が必要な時期だったっけ……忘れてた。ほら、コードよこせ」

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「……はい」

 心の底から面倒くさそうな男の命令にも黒雪姫は生気を感じさせない声色で応え、自分の全てとも言えるデータと繋がるコードを躊躇なく差し出して。

「今度はどんな風にしようかな……あ、調整中は向こうの格好になってよ。人形の時のはやっぱりアレが一番だから」

「はい……」

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 先程までの恋人のような雰囲気は二人から消え失せて。もはやその場には、今度はどうやって遊ぶか考える男と、緩慢に動く操り人形と化した黒雪姫しか存在しなかった。

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