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アクセル・ワールド 中編

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「さて、と……」

 学校も終わって友人たちと別れると、楓子はしばし一息ついて。仲間たちとのゲームの推移を思い起こしてみれば、そろそろ何か大きな騒ぎでもあるかと、今から皆と会うことを想像して内心で微笑むと。

「あら? もしもし?」

 直後に携帯端末に連絡が来ていて、タイミングよく仲間たちの誰かからかと応答してみれば、液晶に映る名前はまるで知らない名前で。それに今時分かけ間違いはないだろうと、多少は不思議に思いながらもその通話に応じたが、向こう側からは言葉ですらない電子音しか聞こえない。

「……ああ、今日は大事な用があったわね」

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 にもかかわらず、楓子は何かを了承したかのように通話を切った。そうして自分の家以外にフラフラと歩いていく楓子の瞳は、どうしようもなく濁っていた。

「ただいまー」

 そうして楓子はどこかの家にたどり着くと、無遠慮に扉を開く。そのまま何の躊躇もなく寝室へと足を踏み出すと、ベッドで待っていた男の隣へと座り込む。

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「この前ういういを差し出したばかりで、今はさっちゃんで遊んでいるところなのに、まだ足りないのかしら? ……なんて、冗談よ」

 そのまま親しげに語りかける楓子とは対称的に、男は何も語ろうとはしない。まるで楓子の様子を観察しているかのように。

「私はあなたのモノなのが常識だもの。だけど……ねぇ、たまにはモノにもご褒美をくれてもいいんじゃない?」

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 反応のない男に気を悪くするようなこともせず、楓子は着ていた学生服を扇情的にしながらも男に語りかける。自らのことをモノだと語ることに何の違和感ももたず、かつての仲間たちのことも同様に扱っていて。

「今頃さっちゃんたちは、私のアイデアでまた間抜けなことをしているわ。それがお気に召したら……ね?」

 仲間たちの姉や先生として慕われていた楓子は、もはやどこにもおらず。そこにいる楓子は、ただ男のためなら仲間だろうと売るモノに過ぎなかった。

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