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オーディナル・スケール

AowVN (5)-min

 新型ARゲーム《オーディナル・スケール》。自らの肉体を用いて戦う新たなゲームは、瞬く間に人気となり、今日もイベント会場に幾人ものプレイヤーが訪れていた。

『わぁ~……ねぇねぇ、いっぱい来てるよ、私の歌を聴いてくれる人!』

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 その光景を高所から見下ろす者が二人。一人はこのゲームの広告塔を務める、歌姫を兼ねたAIアイドルことユナであり、彼女は集まったプレイヤーたちを見て嬉しそうに男へ語りかけていた。

『やっと叶うんだ、私の夢……じゃ、行ってくるね!』

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 何も語ろうとしない男に構うこともなく、ユナはプレイヤーの前に姿を現していく。ずっと願っていた夢が叶うと、とてもAIとは信じられない豊かな感情で、プレイヤーたちに歌いかける。

『みんなー! 来てくれてありがとー!』

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 歌の合間にもマイクパフォーマンスは欠かすことはなく、ユナの歌声はゲームをプレイするために必要な機器《オーグマー》を通して、プレイヤーたちの脳に伝えられていく。

『私ね、ずっと夢だったの! こうして……集まってくれたみんなを、私の歌で、ご主人様の奴隷として差し出すのが!』

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「ご主人……様……」

「奴隷……」

 そうしてユナの歌声を聴いていたプレイヤーたちは、徐々にその瞳を虚ろなものとさせていく。力を失って立ち尽くすだけの存在になっていく聴衆に、ユナは歌を中断してプレイヤーたちを不審げに見下ろすと。

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『うん、バッチリ!』

 高所から降りたってプレイヤーたちの前にユナは立つものの、当のプレイヤーたちはまったく反応を返さない。それをバッチリ、と表現した彼女の瞳は、プレイヤーたちと同様に酷く濁っていた。

『ふふ。かーわいいっ!』

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 そんなまさしく人形同然となったプレイヤーたちを見て、ユナは自分の歌が《オーグマー》を通してプレイヤーたちを洗脳している、と確信する。ずっと願っていた夢――だとAIに刻まれたユナも、その出来映えには満足以外の言葉はなかった。

『ご主人様の奴隷を作り出していく……それが私の存在意義……それじゃ、みんなも一緒に頑張っていこ!』

 立ち尽くす操り人形たちを前にして、ユナはそう笑っていた。

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