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とある科学の超電磁砲 総集編

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 この学園都市に十人といないといわれる超能力者、食蜂操祈。ある日一人でいた彼女に他校の生徒がしつこく言い寄ってきた。あんまりにもしつこいので、彼女の超能力である記憶の操作のための電波を使うと――操られていたのは、彼女の方だった。

「上手くいったな……」 

 彼の能力は電波の改変。操祈が飛ばした電波を改変、催眠状態になるように送り返したのだ。

「聞こえるか、操祈」

「聞こえます……」

「今からお前は、自分で自分のことを洗脳するんだ」

「自分で……自分を……洗脳……」

「そうだ、俺のことをご主人様だって認めるようにな」

「ご主人様……はい分かりました……」

 そう言うや否や、操祈は自分の頭にリモコンを向けて洗脳のための電波を飛ばしていく。自分のことは自分が一番よく知っているとはよく言ったもので、洗脳はいともたやすく行われていく。それはその男が、この学園都市最強の洗脳能力を手に入れたことと同義だった……

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 常盤台中学校。かのレベル5を二人輩出している名門校であり、部外者など絶対に立ち寄れないところである。だが、その男はそんなことも知らないかのように、あっさりと校門に入っていく。何故なら男は、この学園の支配者の主なのだから……

「王子様ぁ~!」

 校門に男が入ってくるなり、そこで待っていた食蜂がしなだれかかってきた。男を主だと思うように自分で自分で洗脳する、という暗示を受けた食蜂は、彼をどうしてか『王子様』と認識していた。

「元気にしてたか、操祈」

「もう王子様ったら、イジワルなんだからぁ」

 男がその金髪をくしゃくしゃと撫でてやると、食蜂は心底幸せそうにニヘラ、と笑う。男はそこで、食蜂が立っていた場所に、もう一人立っていることに気づいた。

「その女は?」

「む~。私が目の前にいるのに他の子に目移りするなんて減点だゾ?」

 食蜂はそんな男の態度に少し怒りながらも、嬉しそうにスキップしながら、その女の後ろに回る。

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「この子は王子様を待ってる間、玩具になっててもらっててぇ~。もちろん、王子様の命令にも従うように調整してあるから、めちゃくちゃにしちゃってもいいけど……」

 そんなことより、と食蜂は彼を上目づかいで見つめ。

「私をめちゃくちゃにする方が先……よねぇ?」

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 ――学園都市レベル5の第五位、食蜂操祈を自身が主だと操ったことにより、間接的に最強の洗脳能力を手に入れた男。その男は男子禁制であるはずの常盤平中学校にて、王者のように君臨していた。

「はい王子様、あーん♪」

 主の命令で水着姿となった操祈が、喜んで男の口元に食事を運んでいく。その傍らには意識がないような生徒が数名控えさせられていたが、操祈はそれに構うことなく男に奉仕していく。

「あー、王子様ずっと胸のこと見てるでしょぉ? 操祈の胸、気になんんっ♪」

「例の件はどうだ?」

 目の前でプルプルと揺れる操祈の胸を撫でながら、男は操祈の耳元でそう聞く。操祈はそれにニヤリと笑いながら、人形のように立ち尽くしていた女子生徒に、水着に挟み込んでいたリモコンを向ける。

「ぁ……進捗状況は30%です……が、これ以上は危険……です……」

 リモコンを向けられた少女はそううわごとのように呟き、また人形のように沈黙する。男の計画、それはこの中学校だけではなく、学園都市全体を支配することにあった。

 そもそも操祈の能力では、反射系の第一位、電波操作が可能な第三位、それに順する能力を持つ能力者は操ることが出来ない。ならばそれらの能力者の防御を力業で突破する、というのが男の計画であり、単純明快かつ効果的な計画だった。

 まずは操祈を研究していたチームを操り、常盤平中学校の内部にて巨大な電波を発信する装置を作成する。それが完成したら操祈の能力を装置で増幅させ、学園都市全体に洗脳を施すことで、常識から改変させてしまうのだ。相互不干渉が不文律となっている『裏側』よりも、この計画の障害となるとするならば。

「御坂美琴……」

 同じく常盤平中学校に所属している、操祈の能力が効かない学園都市第三位。彼女と彼女に協力するジャッジメントが最大の障害だが、その彼女らを擁することが出来れば――

「王子様の支配する世界でわたしはお姫様……♪ 女の子が大好きそうな、ロマンティックな話よねぇ」

「ああ操祈。まずはどこからやろうか……」

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 学生警察機構、通称《ジャッジメント》。そこに在籍する初春飾利は、能力者としてのレベルが高い訳ではなかったが、パソコンなどの電子機器に精通しており、ジャッジメントの電子機器を一手に引き受けていた。並みの能力者以上に、ジャッジメントにとってはなくてはならない存在であり……そこから狙われることとなった。

「ここのシフトは白井さんに頼んで、と……」

 日頃と同じように初春はパソコンの業務に勤しんでいた。本来はシフトを調整するだけで済んでいた筈なのだが、そこでパソコンに異変が起きた。画面が突如として砂嵐に覆われたのだ。

「このパソコンにハッキングするなんて……いいでしょう、受けてたちま――ひゃっ!?」

 ハッキングを受けていることを見抜いた初春が、それをブロックしようとした時、パソコンの画面が砂嵐から女性の乱交画像へとシフトする。そういうことに耐性のない初春は、つい悲鳴をあげてしまうが、すぐに冷静になった。

「全くこんな悪戯を……悪戯……悪戯を……」

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 ハッキングに対処するために、パソコンの画面をじっくりと見た初春の目が虚ろになっていく。乱交画像から目を離せなくなり、手が勝手にキーボードから離れていく。

(でも……この人たち……気持ちよさそう……)

 画像の女性はどれも気持ちよさそうな、幸せそうな顔を浮かべていた。初春が抱いていた気持ち悪いイメージなどそこにはなく、みんなご主人様に従うだけで幸せそうな――

(あ……こんなの……ダメ……)

 画面から目を離せないばかりか、手が勝手にパンツへとかかると、一気にずり下ろした。そのまま毛一つ生えていない女性器に触ると。

「――――ッ!?」

 声が勝手に出るほどの気持ちよさが初春を支配した。触るだけでこんなに気持ちがいいなら、もっと奥まで指を入れたら、どんなに――

「初春ー? いますのー?」

「ひゃわぁ!」

 同僚である白井黒子の声とノックの音に反応し、何とか自我を取り戻すと、急いでパンツを元に戻す。その一秒後に呆れ顔な黒子が入って来て、こちらに向かって溜め息をこぼす。

「……何してますの?」

「いいいえななななんでも!」

 気がつくとパソコンの画面は元のシフト表に戻っており、画像はどこにもなくなっていた。自分は何をしていたんだ、という気持ちと――

 ――凄く気持ちよかった、という気持ちが初春を支配していた。

 初春飾利は調子が悪かった。パソコンに送られてきた女性たちの画像を見てから、妙に身体が火照って仕方がない。考え事をしていると、手が勝手にその身体の火照りを納めようとするように……

「きゃっ!」

 ボーッとしながら歩いていると、前方不注意で誰かにぶつかってしまい、お互いに勢いよく転んでしまう。幸いこちらにも向こうにも大した怪我はなかったようで、初春はすぐさま相手に謝ろうとする。

「ご、ごめんなさ……ひゃっ!?」

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 そこで初春はようやく自分の状態に気づく。受け身をとった関係で、相手に下着を見せつけるようにしてしまっていることに。

「ご、ご、ごめんなさい!」

 それだけ言うのが初春には限界で、初春は相手から逃げるように立ち去っていく。相手の男がニヤリと初春を見ていることに気づかぬまま……

「はぁ……はぁ……」

 息をせききって初春は走り去っていき、改めて自分がどれだけ恥ずかしいことをしたか考える。

「わ、わたし……何てことを……」

 ――でも気持ちよかったな。初春の心中にそんな感情が生まれていた。男の人に恥ずかしいところを見られて気持ちいい、もっと見て欲しい、もっと見せたい――

「…………」

 ――気づくと、初春はジャッジメント本部のパソコンがある場所にいた。初春はフラフラとした足取りでパソコンの電源をつけると、そこには先日の画像が表示されていた。

「みんな……幸せそう…気持ちよさそう……」

 画像の中の女性は、ある男性に従ってみんな幸せそうにしている。あの男性に従っていれば、自分の身体の火照りも止んで、もっと気持ちよくなれる……あのご主人様に従っていれば……

「ご主人様に従っていれば……はい、分かりました、ご主人様……」

 初春はパソコンに向かって、誰かも分からない人物に忠誠と服従を誓っていく。――そのパソコンに仕込まれた画像は、見た人物を遠回しに洗脳する、男が仕組んだブービートラップ。食蜂と、食蜂が洗脳した生徒たちによって作り出されたものである。

「初春? どうしたの?」

「あ……固法先輩……」

 ボソボソとパソコンの前で喋っている初春を不審に思ったのか、ジャッジメントの先輩である固法美偉が声をかけた。

「これ……見てもらえますか……」

 初春は何の疑問もなく、固法に洗脳電波が混じったパソコンの画面を見せる。それを固法も覗き込み……

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「ご主人様のために……みんなにも……気持ちよくなってもらわなきゃ……」

「もう! 何なのよ!」

 学園都市の路地裏。左天涙子は、子供の手を引きひた走っていた。子供と自分をガラの悪い連中が追ってきていて、巻こうと逃げるものの、追跡用の能力者でもいるのか振り切れる様子がない。

「…………」

「大丈夫! 絶対お姉さんが助けてあげるからね!」

 不安そうに顔を伏せる子供を、左天は走りながら元気づける。そろそろ路地裏を抜ける、と思ったその時、目の前に一人の人間が立っていた。待ち伏せされてたか、と思ったのもつかの間、その人物に安心した吐息をはく。

「固法さん!」

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 そこに立っていたのは、自分の親友である初春が所属する、ジャッジメントの先輩である固法美偉。自分はあまり親しいわけではないが、信頼できる人物だということは分かる。

「ああ……左天さん……」

「い、今変な人に襲われてて! この子と一緒に逃げてきてて! で、その……」

 左天は背後を確認してしどろもどろになりながらも、固法に今の状況を説明する。あとは固法が黒子かジャッジメントのメンバーにでも連絡してくれれば……

「もちろん知ってるわ……あなたの状況は……フフ……」

「固法さん……?」

 固法の様子がおかしい。何やらボーッしているような、どこか遠くを見ているような。そんな固法を不審げに思っていると、後ろから追ってきていた不良たちが迫ってきていた。

「ヤバっ……とにかく逃げなきゃ……!?」

 また子供の手を引き、逃げようとする左天の手を、突如として固法が掴む。想像もつかない凄まじい腕力で、左天は逃げられず路地裏へと逆戻りとなる。

「ちょっと……何するの!?」

「もう手間をかけさせないでね……ご主人様がそろそろ到着するから……」

「ご主人様……?」

 何とか脱出の糸口を探そうとするも、固法の後ろに突如として二人の男女が出現する。男の方は知らないが、女の方は、御坂美琴と同じくレベル5である食蜂操祈……!

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「お待ちしておりました、ご主人様。お申し付けのように、あそこに用意してあります♪」

「ご苦労」

 固法は食蜂ではなく男の方に挨拶し、ぞんざいに扱われたものの、ご主人様に挨拶したということで多幸感に包まれる。快感に身を震わせる固法やこの状況についていけず、左天は気づくと呆然と呟いていた。


「もう、何なのよ……」

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「さて、どうしようかな……」

 路地裏でジャッジメントのメンバーに追い詰められた左天涙子。どうにか突破口を探そうとしていたが、あっさりと食蜂の能力の前に沈黙してしまう。虚ろな目をして立ち尽くす左天を、男はどうしてやろうかと考えた。食蜂には及ばないものの、バランスの取れたいいスタイルは、今回の件に関係なく手に入れたいところだ。

「……よし」


「ん? あれ、私……」

 左天涙子が目覚めると、そこはどこかのビルの一室だった。ボーッとした頭を覚醒させると、自身の置かれている状況を再確認する。

「な、何よこれ……」

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 ベッドで寝かせられてはいたが、鎖で繋がれて制服は半脱ぎ、というあられもない姿。さらには先程までの路地裏のことを思い出し、必死に鎖を引きちぎろうと抵抗する。

「ああ、起きたかい左天ちゃん」

 そのホテルの部屋の隅に座っていたのは、先程、食蜂操祈と一緒に現れた男。

「あ、あんた誰よ……あの男の子はどうしたの!」

「あの男の子なら無関係だよ。むしろ君が目当てだったのに巻き込まれたくらいだし、洗脳して記憶を消させてもらった」

 こんな状況でも左天は気丈に振る舞ってみせるが、洗脳、と聞けば流石に顔色も変わる。確かこの学園都市の第五位は、洗脳能力者だったはずで……

「まさか固法先輩も……」

「そういうこと。ある目的のために協力してもらうよ、君もね」

 そう言ってベッドに縛りつけられた左天に、男はゆっくりと歩いてきた。そんな男には絶対屈しないとばかりに、左天は男を睨みつける。

「私は絶対洗脳なんかされないんだから!」

「へぇ」

 左天のそんな気迫もやせ我慢だと思ったのか、男は生返事で返した。そんな態度に苛立った左天は、自分が絶対に洗脳されない理由を示した。縛られたといっても起き上がるくらいの余裕はあり、左天は男に自分の股間を見せつけるような体勢になった。

「どう? 見えるでしょ、処女膜? 私は処女膜がある限り洗脳なんかされな――いひっ♪」


「左天さん! 左天さん!」

「ん……」

 どうやらボーッとしてしまっていたらしく、隣にいる初春の声で意識が覚醒した。最近ボーッとしてることが多いなぁ、と思いながら、左天は初春に謝罪する。

「ごめんごめん、ちょっとボーッとしてた」

「もう、気をつけてくださいね? これから――」

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 初春が再確認するかのように、自分たちのこれからの予定を語りだす。もちろん左天だってそれを覚えていないわけがない。……ご主人様からの命令なのだから。

「――白井さんを洗脳しにいくんだもんね」

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「しーらーいさん」

「左天さんですか……」

 白井黒子が喫茶店で座っていると、左天が話しかけてきていた。いつでも気軽に明るいのが左天の長所だったが、黒子は今回悩ましげに左天のことを見つめていた。

「どうしたんです?」

「……最近、初春の様子がおかしいんですの」

 とつとつと黒子は語りだしていく。それを左天は笑顔で聞いていたが、対する黒子の表情は険しかった。

「しかも最近、食蜂派の方々がジャッジメントの本部に出入りしていたり。……何を考えていますの?」

「えーっと……?」

 言ってることが分からない、とばかりに首をひねる左天に、黒子は溜め息を一つ吐く。

「……言ってもしょうがありませんね。とりあえず左天さんでいいでしょう、あの医者の方に――」

 黒子は計画のことを知らないにしろ、洗脳のことを知っていた。とりあえず一人、洗脳されている者を瞬間移動の能力で病院に連れて行く。何をしているにしろ、それだけで終わるはずだったのだが……

「――――」

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 左天が指をパチンと鳴らす。それだけで黒子の意識は消えていく。

「白井さん、自分が洗脳されてないとでも思ってたんですかぁ?」

「…………」

「もちろん一番最初に洗脳されてますよ? 白井さんを警戒しない訳ないじゃないですかぁ」

 無言の黒子に左天は語り続けていく。もちろん、人形のようになっている黒子からは何の返答もなく、左天はそれを承知で話しかける。

「そもそも私を洗脳する時、ご主人様を連れてきたの白井さんでしょ。何とぼけてるんですか、全く」

「…………」

 左天の言っている通り、その能力や立場から、黒子は真っ先に食蜂から洗脳を受けていた。自分が洗脳を受けていることに気づかないように、合図を受ければ洗脳されるように。

「あ、じゃあジャッジメントの本部まで行ってくれます?」

「はい……」

 バイバイ、と手を振る左天を置いて、黒子はその能力で慣れたジャッジメント本部へと跳躍する。そこには初春と固法が待っており、何かミーティングをしているようだった。

「来たわね白井さん。それじゃあ始めるわよ、ジャッジメントをどうやってご主人様のために役立てていくか、のミーティング」

「はい!」

「はい……」

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 かつてこの学園都市で行われていた進化実験……その中核にあった御坂美琴のクローン、通称《妹達》。彼女たちを早い期間であれだけ量産させられたのは、薬品による成長と、ある学習装置――《テスタメント》という装置によるものだった。

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「ご主人様。実験は順調です。食蜂様の能力を増幅するシステムは、妹達の能力を突破しました」

 ジャッジメントの固法が訥々と男に語りかける。今回男がジャッジメントに命じて行わせた実験は、妹達に食蜂の能力は通用するか――同等の能力を持つ御坂美琴には、食蜂の能力と言えども通用しないが、そのクローンの妹達になら。

 実験の結果は成功だった。最終的に学園都市全てを掌握する、食蜂の能力を増幅するシステム――その試作品を使うことで、妹達のネットワークを支配することに成功したのだ。

「ほら、ご主人様に下着を見せてみなさい。早くする!」

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 洗脳が終わった妹達の一人に、固法が奴隷でも扱うように命令する。それに言葉もなく従う妹達を見て、男はテスタメントの能力を確信する。食蜂の能力によって暗示をかけたのは、再度学習装置《テスタメント》を使うこと――そしてテスタメントによって、男への服従を刻み込まれている。

 それが男の学園都市を洗脳するシステム。都市にいる人間に学習装置《テスタメント》を使う、という暗示をかけるだけで全てが終わる――その実験体となった妹達が、続々と男の前に集まってくる。

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「ご主人様に忠誠を誓うことが常識だとミサカは判断します」

「この世界を支配するための兵隊になるのだとミサカは洗脳されています」

「ご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様のためにご主人様」

 固法とともにテスタメントの成果を確認していると、男はふと、その妹達の口癖とも言える語尾が気になった。何でもないただの思いつきで、洗脳される前の人格ならばどう答えるか、というのを語尾にするように、と命じてみた。

「了解しました、とミサカは何故こんな男にかしずいているのか、と疑問に思います」

「そんな哀れだった私たちを洗脳していただき、ご主人様には感謝してもしきれません、とミサカは洗脳された奴隷のような口振りで話してみます」

 本当に人形のようなその妹達を前に、これからどうするか、ということを考えていると――突如として、静かだったこの場所に爆音が鳴り響く。

 固法が素早く用意した監視カメラを見ると、その爆心地はこの学校の門。そこにいるのは。

「第五位の分際で、調子に乗っちゃってまあ……ま、何にせよ。ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」

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 ……学園都市のレベル5第4位、麦野沈利の姿だった。

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「学園都市の暗部にケンカ売るとはねぇ……」

 第五位と第三位が根城にしている学園に侵入しながら、麦野沈利はそう呟いた。この学園都市を洗脳する計画――どんなに慎重にやったところで、この閉鎖空間ではいずれバレる計画だ。その計画の破壊のため、麦野沈利はここに派遣された。方法は――

「何。洗脳されてる奴全員ぶち殺せば……ん?」

 物騒なことに目を輝かせていた麦野だったが、何とも言えない違和感がこの学園中に広がったのを感じた。洗脳するシステムでも起動したのか知らないが、麦野は学園都市の研究者から洗脳を妨害するシステムを預かっている。最も脅威となる第五位の能力は無意味であり、第三位は洗脳されてない上に不在だ。

 特に気にすることなく前進していると、ようやく目の前に男が一人現れた。外見は何の変哲もない凡庸な男。ただし相手が超能力者だと分かっていて一人で来るとは、少しは骨のあるやつかと麦野は口角をあげる。

「いいねぇ、面白いじゃないか。なら早速――」

 そう言いながら麦野は突如として服を脱ぎだした。それこそが麦野の第四位の超能力の発動条件であり、男にまんぐり返しの態勢を見せることで、かの原子崩しがその正体を現した。

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「ほら、この超能力者処女まんこにあんたのオスマラ様をぶちこんでみな。原子崩しの力を見せてやるよ」

 ――今や対洗脳装置など、手持ちのものでは何の意味もなさない。レベル5だろうとこうして隷属するのみなのだと、男はニヤリと笑った。

「なに笑ってんだ? あたしは確かにこれからあんたに惚れて奴隷になって、後詰めで来る他のアイテムの連中を奴隷として差し出すわけだけど、何がおかしいんだ?」

「そうか、他のメンバーも後から、か……なら次は、お前らで遊んでやる」

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「ん……?」

 いつの間にか寝てしまっていたようだ、と、麦野沈利はベットから覚醒する。抱いていないと眠れない、壊れかけのぬいぐるみを引っ張りながら、半ば寝ぼけてベットから出る。

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 普段使ってる部屋とは違う部屋だったが、きちんと着替えは用意してあった。最低限の身だしなみを整えると、麦野はその見知らぬ部屋から出ていく。

「……あ。むぎの、おはよう」

 部屋の外では自分以外の《アイテム》メンバーの女子がおり、その中で滝壺がこちらに気づいて挨拶をしてきた。三人は先に『仕事』をしているらしく、絹旗などはこちらに気づく様子もない。

「やめてくださいよ! 超気持ち悪いんですけんひっ♪」

「あー――ああ、麦野! 助けて! ねぇ」

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「ん? ああ、今回はそういうプレイ? じゃあ仕事頑張ってね」

 滝壺以外は嫌がるようなプレイで襲われているのか、涙目で助けを求めてくるフレンダに応援の言葉を送ると、ようやく目が覚めてきた。確か自分は学園で計画を進めている連中を制圧しようとして、逆にご主人様に洗脳されて、逆に制圧部隊を壊滅させた。さらに仲間である《アイテム》メンバーを奴隷として差し出して、いろいろご主人様のために動いていたのだったか。

「……私たちは三人で大丈夫。むぎのはご主人様に報告」

「ん。よろしくー」

 洗脳がわざと中途半端にされている二人とは違い、完全に洗脳された滝壺は麦野にそう頼みつつ、自らの『仕事』を全うするべく働く。麦野は向こうの椅子に腰掛けていた男を見つけると、そちらに小走りで駆け寄ると、その場にかしずいた。

「ご主人様。偽の犯人の用意と、関係者の洗脳が終わったよ」

 偽の犯人と関係者の洗脳。これで計画を阻止しようとする敵の動きは大分遅れる。男はその報告に満足してニヤリと笑った。

「だからぁー。三人だけズルいし、わたしにもご褒美くれない?」

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 彼女らしからぬ甘えた声を出してご褒美をねだる麦野に、男は座っていた椅子から立ち上がり――



「はい、御坂さん。アーン♪」

「はいはい……」

 学園都市のまた別の場所。左天涙子にスプーンで食べ物を渡された御坂美琴は、いつもの左天の悪ふざけだと、適当にその食べ物を口に含む。

「えっ――」

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 すると意識が朦朧としていき、最後には意識を失ってしまう。左天が飲ませたのは催眠薬。暗示性を高める薬品であり、親しい仲である左天ならば刷り込みも容易い。 例え能力で食蜂の能力からの洗脳耐性があろうと、そういう薬品に対してはただの女子でしかない。

「御坂さんも一緒に、ご主人様のために動きましょうねぇ……」

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「やっほー、御坂さぁん」

 食蜂は挨拶しながら適当にその部屋へと入る。学園のとある一室、そこに御坂美琴は囚われていた。

「マスク外してあげるわねぇ」

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「あ……」

 あられもない姿をした美琴の口を自由にする。ずっとその体勢を維持させられていたのか、美琴の口から声が漏れる。

「んー、何か言ったかしらぁ? 食事と飲み物はきちんとしてたでしょ?」

「お願い……イかせて……」

 美琴にかけられた暗示は能力の制限と達せないこと。能力を封じられて快感を与えられながら、美琴はこの数日間放置されていた。

「イかせて……イかせてよ……」

「うふふ。御坂さん、かーわいい。そんなにイかせて欲しいなら、ご主人様に忠誠を誓えばいいのよ?」

 いつもの快活な様子もなく、寸止めされ続けた快感ですっかり衰弱してしまった美琴には、その食蜂は下手な能力よりよっぽど洗脳に近かった。

「イかせてくれるなら忠誠でも何でもするから! 早くイかせてよ!」

「それじゃあ拘束解くから、ご主人様におねだりしてみなさい?」

 そして男がその部屋に入ってくると、食蜂は美琴にかけられていた手錠を外す。すると美琴は、フラフラとした足取りで男の足下にすがりついた。

「ごしゅじんさま……イかせてくらさい……」

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 学園都市にある地下プール。地上にあるプールがどこも盛況の中、そのプールに人気はなかった。何故ならそのプールは、学園都市の『支配者』とその奴隷たち専用のものなのだから。

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「あ、ご主人様! 超待ったから先に遊んでるんですけど!」

「……最初っからあそんでた」

「まあ絹旗に期待する方がダメって訳よ」

「そういうあんたは何ポーズ取ってんの、抜け駆けは許さないわよ」

 先に待機していた元アイテムの面々を眺めていると、男は突如としてプールサイドに押し倒される。何かと思って抱きついてきた者を見ると、そこには。

「ご主人様だぁ……えへへ、ご主人様の匂いだぁ……」

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「ちょっと! あれこそ超抜け駆けなんですけど!」

「ごしゅじんさま、そいつにアイアンクローするから場所変わって」

「こら御坂さん。無理やりはダメよぉ?」

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 アイテムメンバーからの文句も聞いていないような美琴を、一緒に来ていた食蜂が制止する。洗脳の影響か少し幼くなったような美琴は、嫌々ながらも男から離れていく。

「やだご主人様、ちょっとケガしてるわぁ。こっちに来て」

 そう言って食蜂は無理やり男を連れ出していく。プールサイドに残ったメンバーがその目的に気づいたのは、食蜂と男がプールから離れていってからだった。

「うふふ、抜け駆けして独り占めしちゃったわぁ……ひさびさに二人きりよね、王子様」

「もはや学園都市はあなたの玩具箱。何しても自由だけど、たまには最初に奴隷にしたあたしも構ってくれないと、ちょっとグレちゃうんだゾ?」

「だから……きて? 私の王子様……」

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